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2010-01-20 00:00
「政治とカネ」検察の公正な捜査に期待する
角田 勝彦
団体役員
まことに、政治の世界は「一寸先は闇」である。1月5・6日連載の拙稿「経済再生のため、企業人は奮起せよ」のなかでそう述べて、18日からの通常国会の難航を予測し、政府(予算)に頼らない民間の努力を求めた時には、鳩山首相のマザーゲート問題が主に頭にあって、小沢民主党幹事長元秘書で衆院議員の石川知裕容疑者らの15日の逮捕(政治資金規正法違反容疑)までは予想していなかった。しかし、この方が「政治とカネ」の闇は濃い。
鳩山首相を含み民主党は、表面上一枚岩で、必死に幹事長を守る戦いに努めている。18日には石川氏と当選同期の民主党衆院議員らが「石川代議士の逮捕を考える会」を発足させ、また同党役員会は同日「捜査情報の漏えい問題対策チーム」の設置を決定した。同党内では捜査当局の取り調べを透明化する刑事訴訟法改正案(取り調べ可視化法案)を今国会に提出することも検討され始めた由である。要するに、検察を前線に出した官僚機構(及びそれに踊らされたマスコミ)と先の衆院選挙で民主党を勝利させた国民の対決という構図を描いて、国民を説得したかったのである。選挙で勝利すれば違法性は阻却されるという危険な考えが、その裏にある。私は、昨年6月22・23日連載の拙稿「個別事案に対する法相の指揮権を剥奪せよ」で、これは三権分立の大原則を揺るがし、独裁にもつながりかねない恐ろしい発想であると指摘した。鳩山首相は、1月19日の衆院代表質問に対し、「私は行政の長であり、検察が公正な捜査を行うことを信じたい。指揮権発動は考えていない」旨明言した。国会開会中で議員には不逮捕特権があるから現実の問題ではないが、重いことば(約束)である。
ところが、国民は民主党の考えたようには動かなかった。共同通信社の17・18日の全国電話世論調査では、東京地検特捜部から1月5日以降要請されていた任意の事情聴取に応じないで、土地購入資金に不正はないとして検察批判を展開している小沢幹事長の説明に「納得できた」はわずか6.3%で、86.0%が「納得できない」と回答した。鳩山内閣の支持率は41.5%で、前回調査(10・11日)から9.3ポイント急落、逆に不支持率は44.1%と10.9ポイント跳ね上がり、昨年9月の内閣発足後、初めて支持率と不支持率が逆転した。政党支持率は民主党32.1%と、前回調査から6.6ポイント下落して内閣発足後最低の数字となった(自民党は22.7%で5.4ポイント上昇した)。これでは、小沢幹事長自身、何より重視している7月の参院選に大影響が出てくる。そこで小沢氏は任意での事情聴取に応じた方が得策と判断したようで、近く実現と報じられている。ここで同事件の捜査は大きな山場を迎えることになる。先行きは予断を許さないが、国民としては、検察の公正な捜査を信頼するほかはない。日本は民主主義国家である。検察ファッショは、いくらでも防ぐ手がある。
国会でも「政治とカネ」の追求で予算審議は遅れることになろうが、すでに有識者の多くが、本年後半からの2番底の危険性をふまえ、2009年度第2次補正予算案や2010年度予算案の成立前に、2010年度補正予算案の必要性を説いている状況である。遅れの是正は可能であろう。この際、昨年12月18日の拙稿「信無くんば立たず」で論じたように、鳩山内閣は内外の信を取り戻すことを第一とすべきである。
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