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2010-01-21 00:00
(連載)核廃絶に至る“遠い夜明け”(2)
吉田 康彦
大阪経済法科大学客員教授
イスラエルの核廃棄は中東紛争が解決しない限り、実現しない。インドも中国の動向次第だ。インドが廃棄しない限り、パキスタンも応じない。金正日体制が続く限り、北朝鮮も絶対に核廃棄には応じないという悲観論も根強い。
核開発の動機には、(1)実戦用武器 (2)安全保障(抑止力) (3)国家のステータス・シンボル (4)ナショナリズム(国威発揚) (5)対米交渉のカード、の5通りがあり、現実には複雑に絡み合っている。これらの要因が動機づけとして効力を失わない限り、指導者は核開発の衝動を抑えられない。しかも、原料のウランは地上に無尽蔵に近く存在する。技術者がノウハウさえ会得し、指導者がその気になれば、核保有は容易である。濃縮ウランとプルトニウムの備蓄も累計数百トンにのぼる。人類は「パンドラの箱」を開けてしまったのだ。
核廃絶は世界政府が実現しない限り不可能。これが日豪主導で昨年暮れに報告書をまとめた国際賢人会議の現実的な結論でもある。世界政府の実現には2つの側面がある。人類が平和共存の知恵を身につけて上記の核開発・保有の衝動に駆られなくなること、違反者(国)に対する摘発と査察の実効性が高まり、世界政府のメカニズムが有効に機能すること、の2点だ。そんな日がくるのは「百年河清を待つ」ことに等しい。
おりしもマサチューセッツ州の上院議員補選で与党・民主党は、故エドワード・ケネディが過去47年間死守してきた議席を失い、上院で安定多数(60議席)を失い、重要法案をめぐる共和党の妨害戦術を阻止できなくなった。その結果、共和党が反対するCTBT(包括的核実験禁止条約)批准の見通しが不透明になった。米ロの新条約批准にも暗雲が垂れこめている。われわれは現実を直視する必要がある。(おわり)
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