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2010-01-21 00:00
(連載)インド洋における日本のプレゼンス低下を憂慮する(1)
高峰 康修
岡崎研究所特別研究員
周知の通り、鳩山政権は、1月15日に期限が切れる新テロ特措法を継続せず、同法に基づくインド洋での海自艦船による「不朽の自由作戦・海上阻止行動(OEF-MIO)」への給油活動は、同日限り8年間にわたった活動を終了した。これが、次のような多大なデメリットを持つことは散々議論され尽くされている通りである。
第一に、テロとの戦いで難渋を強いられている米国との関係に悪影響を与える。次に、せっかく国際的な平和・秩序維持活動の分野での人的貢献ができるようになり、我が国の顔が国際社会に見えるようになったものを、時計の針を逆に戻すようなことをしてしまった。この結果、国際社会での存在感が再び希薄なものとなるおそれが大きい。第三に、テロとの戦いから離脱することにより、共に活動してきた国々との情報共有ができなくなる。これは、日本にテロ情報がもたらされなくなることを意味する。
以上に加えて、そもそも、我が国にとって死活的に重要なシーレーンにあたるインド洋における海自のプレゼンスをむざむざと放棄してしまったことは、著しく国益を損ねる行為である。軍隊(我が国の場合は自衛隊)のプレゼンスというものは、文字通り「存在する」ことに意義がある。軍隊のプレゼンスは、当該地域に重大な関心があることを広く知らしめる行為である。したがって、我が国がインド洋に小規模といえども海自の艦船を派遣することは、シーレーン防衛にとって重要なことである。
それでは、プレゼンスに空白が生じたならばどういうことが起きるか。ひとつは、同盟国や友好国が空白を埋めることがありえる。しかし、実際に起こりがちなのは、敵対国やライバル国が好機ととらえて進出してくることである。今回、まさにそのような事態が起ころうとしている。すなわち、中国海軍が海自の後を引き継いで給油を実施することを検討している。中国政府の内部文書には、既に、中国海軍がインド洋での給油活動に備えて訓練を実施していることが明記されていると報じられている。もし中国が、インド洋において日本が担ってきた役割を引き継ぐようなことがあれば、我が国のシーレーンにおいて中国軍の影響力が増すことになる。(つづく)
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