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2010-02-03 00:00
(連載)日米関係の将来と普天間基地移設問題(2)
中岡 望
ジャーナリスト、国際基督教大非常勤講師
逆に言えば、この10年、日米の間に深刻な政治的、経済的な問題はなく、ブッシュ・小泉関係に象徴されるように極めて友好的な関係が続いていた。日米関係は無風状態といっても良かった。さらに言えば、自民党政権は対米関係最重視の政策を取り、「アメリカとの関係が良好であれば、日本の安全保障の問題は心配ない」との立場を取ってきた。いかに日米間で波風を立てないかが、自民党政権の政策の最大の焦点であった、と言っても過言ではない。
普天間基地移転問題は、そうした日米関係に大きな課題を突き付けた。鳩山政権が「マニフェストに従って普天間基地移設問題を再検討する」との立場を明らかにしたことで、この問題は日米間の喫緊の問題として浮上してきた。2009年10月20日、ゲーツ国防長官が来日し、極めて厳しい口調で日本政府に協定の履行を要求し、「合意内容に関して妥協の余地はない」とアメリカ政府の立場を明かにした。アメリカのメディアは、ゲーツ発言を“最後通告(ultimatum)”と表現するほど、ある意味では傲慢なものであった。
日本のメディアは、ゲーツ長官の強硬発言のみに過剰に反応した。各メディアは、「普天間基地移転問題で日米関係は危機的な状況に陥る」と、連日報道し始めた。確かにゲーツ長官の発言や訪日中のやや無礼ともいえる態度が一気にテンションを高めたことは間違いない。しかし、同時にゲーツ長官は「日本の新政権が移転計画を見直したいと思っていることは極めて理解できる。私たちは“タイムリミット”という点から話をしているのではなく、できるだけ迅速に事態を前進させる必要があると主張しているのだ」と、極めて冷静なコメントもしている。
こうした当初の認識は、オバマ政権に共通したものであった。日本のメディアは大げさに危機を煽っていたが、オバマ政権は比較的冷静に対応しようとしていたことは間違いない。オバマ大統領のアジア歴訪の前の2009年11月6日に民主党系のシンクタンク・ブルッキングス研究所で行われたシンポジュームで、国家安全保障会議のアジア担当部長で大統領の特別補佐官であるジェフリー・ベーダー氏が講演を行っている。なお同氏は、オバマ大統領のアジア歴訪の随員として大統領と行動を共にし、オバマ大統領に直接アドバイスを行っている。講演の中で同氏は、「アメリカはアジア太平洋の国家である。東アジアの国はアメリカとの同盟関係を支持しているが、同時にアメリカの軍事的な存在を軽減し、より対等な関係を望んでいる。それが日本と韓国で米軍を再編成している理由である」と語り、日米関係に関しては、日本は東アジアのアメリカの安全保障の要石であり、今後もそのことに変わりはないと指摘する一方、「日米関係は当たり前だと考えるようなものではない(the relationship with Japan is not one which we can take for granted)」と語っている。さらに「日米安全保障条約を結んで50年経ち、世界は変わった。アメリカは変わった。日本は変わった。鳩山首相の日米関係を見直そうという主張は、日米同盟を新たなものにする重要な一歩として、私たちは歓迎する」と述べている。(つづく)
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