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2010-02-04 00:00
検事総長は「小沢不起訴」の説明責任を果たせ
杉浦正章
政治評論家
東京地検特捜部にとって、“主敵”は民主党幹事長・小沢一郎ではなく、内部にいたことになる。地検がぎりぎりまで小沢を追い詰めて逃げられたのは、一にかかって最高検・東京高検など検察官僚上層部の消極姿勢にあるからだ。首相・鳩山由紀夫は2月3日「至極自然」とうそぶいて小沢を続投させる方針を表明した。これで“小沢独裁”は、事実上の野放しとなる。検察首脳は、誰が見ても“巨悪”を見逃したことになる。社会的影響の大きな問題だ。検事総長・樋渡利秋は記者会見で不起訴に至った経緯を詳細に説明する責任がある。国民には強い欲求不満と公憤のマグマがうっ積した。いちるの望みは、検察審査会が「不起訴不当」や「起訴相当」の議決を行い、裁判に持ち込むことだ。
検察上層部は新聞やテレビに「100%有罪でないと、起訴できない」と述べているが、焦点は水谷建設の供述した疑惑の資金提供5000万円の賄賂性を立証できなかったことにあるのだろう。小沢も秘書らもこれを最後の砦として死守して、完全否定、結局“落ち”なかったのだ。検察首脳は、おそらく地検が突き止めたマネーロンダリングのための銀行融資の書類に小沢本人が署名していたことなどの共謀の可能性について、証拠不十分の判断を下したのだろう。そこには時の政権に対する“政治配慮”の影すら感じられるのは、筆者だけであろうか。署名は動かぬ物証ではないのか。読売新聞が「例え原資が完全に特定できなかったとしても、政治資金規正法違反は成立する。刑事責任を追及すべきだったのではないか」と主張しているのは、世論の偽らざる本音だ。大山鳴動させて、ネズミが2、3匹では、「いったい検察は何をやっているのだ」ということになるのが、平均的国民感情だ。上層部は、地検を二階に上げておきながら、はしごを外したことになる。その説明責任は早急に果たすべきだ。
鳩山は、小沢が総選挙を共に戦って有権者の支持を得た同志であることを理由に、小沢擁護の姿勢に徹している。3日も「この時点において、幹事長として仕事をやってもらいたい。今この段階で(続投と)思っているのは、至極自然だ」と述べている。しかし私人としての判断なら、勝手にすればよいが、鳩山は公人のトップの立場だ。総選挙の有権者の審判をねじ曲げて判断すべきではない。小沢の偽装献金も、自分自身の子ども手当も、全く総選挙の争点にはなっていなかった。首相は、新聞の世論調査で7、8割が「幹事長は辞任すべきだ」としていることに、目が向かないのだろうか。倫理観に欠ける首相を頂く国民ほど不幸なものは無い。小沢および側近は不起訴で勢いづくだろう。小沢は鳩山が礼賛するくらいだから、今後とも一極支配の“独裁体制”を強めるだろう。反小沢側も、これまですごんでいた前原誠司が、「小沢留任」を言い、真っ先にとん走をはかった。京男というのは、こんなものか。しかし渡部恒三は「法に触れないからいいとは言えない。国民の指導者なのだから、道義的責任はある」と立場を変えていない。反小沢側は“世論”待ちだ。
しかし、例え2、3匹のネズミでも、起訴されれば政治的な信頼失墜は絶大だ。国会議員を含む秘書が2、3人も起訴されて、政党の首脳がその職に居座った事例は、戦後においてない。帳簿に載らない簿外資金が空前絶後の20億円もあって、政治家本人が立件できないのは、どう見てもおかしい。国民には小沢がクロなのに立件されなかったとする印象は強まる一方だ。自民党政調会長・石破茂が「クロと断ぜられないことであってもシロですということにはならない」と述べているが、その通りだ。小沢側近はほおかむりのまま沈静化を狙うだろうが、世論がおさまるとでも思っているのだろうか。この状態での留任を“至極自然”と見なすのは、鳩山と小沢側近だけだろう。秘書起訴を契機に、新聞テレビが行う世論調査の結果を待つがよい。国民の憤りの高さが如実に反映されたものになるだろう。民主党は限りなくクロに近い幹事長と、限りなく脱税に近い首相を抱えて、無明の闇をさまよい歩くことになる。小沢は選挙遊説をする度に「こんなはずではなかった」と身に染みて、国民の反応を受け止めなければなるまい。世論の反発は止まらない。参院選をにらんで小沢の終着駅は、かねて指摘したように辞任しかあるまい。
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