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2010-02-18 00:00
(連載)予想されていたウクライナの混乱(1)
河村 洋
親米NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
ウクライナの大統領選挙を前に、カナダのモントリオールにあるグローバル化研究センターのセルゲイ・モルチャノフ氏が「選挙の結果に関わらず、ウクライナが混乱に陥る」と警告しているが(“Ukraine: Elections or Emergency Rule?”; Global Research; February 1, 2010)、 事態はその通りに動いている。
ユリア・ティモシェンコ首相は、ついに対立候補ビクトル・ヤヌコビッチ氏の勝利に異議を唱えて、選挙結果の不正を法廷で争うことになった。よってヤヌコビッチ氏の当選は、一時的に棚上げされるが、ティモシェンコ氏は「100万票以上の不正票によって、ヤヌコビッチ氏がこの選挙に勝利した」と主張している。ティモシェンコ氏は、支持者に対して「街頭デモに繰り出さないように」と訴えているが、ヤヌコビッチ氏に対して再び「オレンジ革命」さながらの抵抗を行なおうとしている。OSCEの選挙監視員の中には法廷闘争を支持する者もいる、とティモシェンコ氏は言う。
そのような動向を他所に、ヨーロッパからの選挙監視団体は、選挙の公正さ賞賛し、バラク・オバマ米大統領、アナス・フォー・ラスムッセンNATO事務総長、ヘルマン・バン・ロンピュイEU大統領をはじめ、アメリカとヨーロッパの指導者達は、ヤヌコビッチ氏の当選を祝福している。ラスムッセン氏が言うように、欧米諸国の指導者達は、東方への「過剰拡大」よりも、ロシア・旧ソ連諸国との戦略的提携を模索しているのだ(“NATO, EU follow U.S., welcome Ukraine's Yanukovich”; Washington Post; February 12, 2010)。
にもかかわらず、ティモシェンコ氏はこの選挙の不正を訴え続けている。カーネギー国際平和財団のマーク・メディッシュ客員研究員は、「ウクライナは、政治的な一体性を欠く、つぎはぎだらけの国である。民族と地域の分裂は、選挙後の混乱した紛争の原因の一つである。またウクライナは主権国家としての充分な歴史的な体験がない」と論評している。(つづく)
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