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2006-05-30 00:00
連載投稿(2)日本に化学兵器遺棄責任はない
小池 享
大学教員
つぎに、遺棄化学兵器の処理問題について述べます。現在中国の東北部では旧日本軍が遺棄したとされる化学兵器を処理するために日本が膨大な費用を負担してその処理作業が進められています。その経費の総額は雪だるま式に増えて、そのうち1兆円を超えるのではないかとも言われています。このことについて、政策委員会に提出されたタスクフォース起案の提言中間案は「これはわが国が国際的信用をかけてやり抜く必要がある」と断言しています。
私の言いたいことは、その断言に思い込みはないのかということです。終戦当時中国で降伏した旧日本軍は化学兵器を勝手に遺棄したわけではなく、中国軍にその管理責任を移管していたのです。そのことを証明する日中双方の責任者の署名入りの文書が、最近山形県の「シベリア資料館」で発見されました。このニュースが事実であるのなら、日本に遺棄責任はなく、その処理をすべき法的責任もありません。
まだ遅くはありません。原点に戻って、もう一度管理責任の有無の再確認から日中交渉をやり直すべきではないでしょうか。交渉のスタート時点で日本の遺棄責任の有無を確認しなかった日本外務省(とくにそのチャイナ・サービス)の初歩的怠慢は責めても責め切れません。おそらく中国側から高飛車に威圧されて、最初からひれ伏したものでしょう。
私は、日本に遺棄責任がないと確認されたからといって、この処理作業に日本はいっさい関わるなと言っているわけではありません。しかし、日本が法的責任を果たすためにやっているのと、法的責任はないが、友好と道義のためにやっているのとでは、同じことをやっても、その意味が全然違ってきます。現在の日本政府のやり方はおカネをどぶに捨てるやり方です。遺棄責任の有無をはっきりさせることから出直してこそ、初めて対等な日中関係が可能になるのです。
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