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2010-03-09 00:00
(連載)インフレ目標設定にこだわるな(2)
角田 勝彦
団体役員
国際通貨基金(IMF)の1月末見通しは、2010年の世界経済の実質成長率を3.9%(日本は1.7%)と昨年10月見通しより0.8ポイント上方修正(日本は変わらず)した。また、米欧の中銀は、2008年秋の金融危機後に導入した緊急措置の打ち切りに向かう「出口戦略」を模索している。しかし、日本は円高もあり、腰折れの危険が大きく、「出口戦略」はまだ早い。財政・金融措置拡大や規制改革などは、依然急務である。本論でデフレの是非についての神学論的論争(古くはピグー対ケインズ)に入るつもりはないが、設定する場合のインフレ目標達成の困難性については、いくつか指摘しておきたい。
(1)物価上昇は、ふつう有効需要(投機を含む)が供給を超える場合に生じる。よって金融緩和のみでデフレを克服することは出来ない。無茶なバラまきでデフレ脱却が出来た場合、インフレ・コントロールが困難となる。現在も、世界中、かつてない低金利で、資金が市場に溢れ、一次産品価格の高騰や資産バブルが生じている(反動の危険が大きい)。
(2)政府支出の規模は、金融危機後主要国で大幅に膨らみ、経済協力開発機構(OECD)の2009年統計によると、加盟28カ国の政府部門の総支出は、GDPの約45%に達しているが、なお市場は経済を支配している。中国を含み物価統制は困難である。グローバリゼーション(私は「世界一体化」と訳す)の下、もともと高かった日本の物価が低下に向かうのは、自然の流れである。
(3)円高は輸入品中心に物価低落を意味する。円高是正は口先介入ではできない。
(4)インフレ目標は、金利上昇をともなう。「国の借金」を871兆円として、1%なら9兆円近い財政負担をもたらす。(終わり)
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