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2010-03-16 00:00
政治の劣化と不信極まる:鳩山政権半年
杉浦 正章
政治評論家
歴史的な政権交代から半年が過ぎた。民主党政権が日本の政治にもたらしたものは何だったのだろうか。めまぐるしい新政権をめぐる動きの中で浮かび上がってきたものは、首相・鳩山由紀夫と民主党幹事長・小沢一郎の相互依存関係がますます深まり、あの国民に見放された古い自民党の体質をそのまま引きずって、日本の政治を一段と劣化させている構図である。具体的に言えば、ツートップは自民党政権下でもはばかられてきた「政治とカネ」に対する説明責任を一貫して拒否し続け、ほおかむりで通そうとしているのだ。政治資金疑惑解明は、国民による政権への信頼の前提条件であり、8割の国民が求めている説明責任を無視する政権は戦後ない。国民の期待は完全に裏切られ、自民党が受け皿になりきれないこともあって、政治不信は極まった。「10年の空白」に続いて「4年間の真空状態」に国民は直面させられている。
誰が見ても政権発足半年後は、「平成の脱税王」と「永田町の不動産王」が開き直って、居座った図式である。なぜ相互依存かと言えば、小沢にとって見れば鳩山ほど使いやすい首相はいない。鳩山も政局・政策ともに小沢頼みだ。かって小沢は、海部内閣を作るとき「御輿は軽くて、パーがいい」と漏らしたが、鳩山にいたっては、かつてのベストセラー「存在の耐えられない軽さ」そのものである。海部より軽い。政府では官房副長官しか経験がない鳩山が、副長官クラスの判断力で国の政治をつかさどっているのだ。まさに素人政治が、首相官邸のトップによって行われている、としか言いようがない。拙劣さの証明は、すべての重要案件を自縄自縛で道をふさいでしまっていることを見れば、明らかだ。まず最大の案件である消費税を、「4年間導入しない」として封印してしまった。これは冒頭挙げた「4年間の真空」を我が国の財政規律にもたらすものにほかならない。普天間移設問題も「最低でも県外」発言で沖縄県民の期待感をあおり、自ら選択の道をふさいだ。
政権をマニフェストで獲得したそのマニフェストが、欺瞞(ぎまん)に満ち満ちていた。天下り禁止を郵政社長人事で破ったのを手始めに、党を挙げて反対してきた暫定税率は継続、高速道路の料金の何と引き上げだ。7兆円の節約は、パフォーマンスの事業仕分けでたった7000億円の節約。「マニフェストが守れない時は,政権の座を降りる」と鳩山は繰り返したが、自分に都合の悪いことはとんと忘れてしまっている。「政治とカネ」に関して鳩山は、小沢に説明責任を果たすように言うと国会答弁したが、1度電話を掛けただけで、いまだに責任は果たされていない。鳩山にしてみれば、小沢が辞めたら「政治とカネ」の追及は、自分に集中しかねないのであって、小沢に辞められては、困るのである。要するに、パフォーマンスに明け暮れした野党首脳時代の政治手法で、そのまま首相の任に当たっているのだ。
ツートップの持ちつ持たれつの関係が、これまでになく日本の政治を劣化させている。自民党の場合、少なくとも疑惑の対象になった議員は、金丸信にせよ、中曽根康弘にせよ、国会に出て説明責任を果たしている。自民党ですらやった政治の基本を無視して、国が治まるのだろうか。「民信無くば、立たず」の論語が今ほど響くことはない。近ごろ米国、中国、韓国などのリーダーの顔が、鳩山と比べると立派に見えてきて、うらやましいのは、筆者だけであろうか。今後このツートップが続く限り、民主党政権に将来はない。にもかかわらず小沢は、参院選後に公明党を抱き込んででも、政局の主導権を確保する構えだ。3月16日付朝日新聞の世論調査では、内閣支持率が半年間で71%から32%と半分以下となった。これでは、支持率が20%台の危険水域に入るのも、時間の問題だろう。官房長官・平野博文が「予算が成立すれば、支持率が戻る」と甘い見方を披歴しているが、甘すぎて話にならない。予算が通ったからと言って、支持率が上がるケースは、知らない。民主党にとって起死回生の選択は、ただ二つしかない。小沢辞任か小沢・鳩山連携辞任だ。小沢辞任だけでは、鳩山脱税疑惑が残るが、やらないよりましだろう。「小鳩連携辞任」なら、離れた支持率が急速に回復するだろう。国民の民主党への期待はなお大きいからだ。ということは、民主党内から「小鳩降ろし」が本格化して、劣化した政治を是正するしか方策は無いということになる。
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