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2010-03-26 00:00
(連載)急速に支持を失うオバマ大統領(4)
中岡 望
ジャーナリスト、国際基督教大非常勤講師
もちろん、イデオロギー的対立で行き詰まる政治状況だけでなく、経済情勢の悪化もオバマ大統領にとって逆風となっている。アメリカがリセッションに陥ったのが2007年12月である。それから今年の1月までに喪失した雇用は840万人に達している。オバマ政権樹立後の昨年の2月から今年の1月までに、約330万人の雇用が失われている。1月の失業率は9.7%に低下した。今後1年間を通して10%台の失業率が続くと予想されている。1月末の段階の失業者数は1480万人に達している。
昨年2月、オバマ政権は予算規模7870億ドルの「アメリカ復興再投資法」を成立させるに当たり、「今後350万人の雇用を創出し、失業率も8%に留める」と説明していた。だが雇用情勢は悪化の一途をたどり、政府の「景気刺激策がなければ、雇用情勢はさらに悪化していた」という説明も、ただ空しく響くだけである。住宅差し押さえ件数は、史上最高の水準に達し、低下する兆しがみえない。毎日多くの人々が、職だけでなく、住む家を失っている。
巨額の財政出動と超低金利政策にもかかわらず、本格的な景気回復の道筋は見えてこない。昨年の経済成長率はマイナス2.4%と大きく落ち込んだ。第3四半期、第4四半期はプラス成長に転じたものの、成長の原動力は在庫投資の積増しや輸入減によるもので、個人消費の回復は依然として低調であった。とても、本格的な回復とは言えない。当分、“雇用増なき”回復が続くと思われる。
その一方で、巨額の資金を投入しての金融機関やGMなどの救済が行われ、さらに金融機関幹部に対する巨額のボーナス支給が明らかに成り、政府に対する国民の怒りは急速に高まっている。ポールソン前財務長官は「金融機関の救済をしなかったら、ゴールドマン・サックスさえ危なかった」と政策の正当性を訴えているが、それは雇用喪失の危機に直面している多くの国民にとって、空々しい弁明にしか響かない。(つづく)
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