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2010-04-03 00:00
(連載)日本の対露政策はこのままでよいのか(2)
袴田 茂樹
青山学院大学教授
『エクスペルト』5月18~24日号は、「日本の政治家は、言葉の上ではともかく、実際面では、領土問題をわきに置いて、正常な政治・経済関係をロシアと結ぼうとしている。北方領土問題は、国内向けとしては熱っぽいが、日本の政府関係者は事実上従来の態度を改めており、『領土問題を抜きにした』新たな露日関係の形式が、今回のプーチン首相の訪日で確立した。ちなみに、日本側のメンツを立てるために、プーチンはイタリアのG8サミット時の首脳会談では、あらゆる解決方法を話し合うと述べた」と報じている。
元外務次官で、かつては平和条約締結に情熱を抱いた日本通のゲオルギー・クナーゼも、今は「日本とロシアの間には素晴らしい関係があります。平和条約がないために何か問題が起きるとは思えません。ロシアは平和条約を必要としていません」と述べる。その当然の帰結として、今後の日露の平和条約締結に向けての交渉に関しては「重要な決定は何も下されないでしょう」と述べる。
ロシア側が、日本の領土返還要求は「国内向けのタテマエ」にすぎないと見たり、領土問題棚上げ論や平和条約不要論(領土返還不要論)を唱えるほど傲慢になった背景は、もはや説明不要だろう。根本的には、資源大国として自信を強め、大国主義やナショナリズムが強まったことが背景にある。しかし、間違ったシグナルを与えた、これまでの日本側のアプローチにも、大いに責任があるのだ。
ここまで来れば、今後日本政府のとるべき態度も、自ずと明らかになる。日本側が与えた誤解を是正することだ。麻生首相は、昨年7月のイタリアでの首脳会談でメドベージェフ大統領に「ロシア側に平和条約問題について具体的な進展を図る用意がないのであれば、日本はロシアとアジア太平洋地域においてパートナー関係を構築することはできない」と述べた。これは新たな立場に立った政経不可分論であるが、鳩山政権には前政権のこの反省をしっかりと受け止めて欲しい。ちなみに、ロシアは、領土問題を解決するためには経済関係の発展が不可欠という、ロシア側の論理による政経不可分論を一貫して主張している。(おわり)
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