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2010-04-15 00:00
(連載)イギリス総選挙と外交政策の行方(3)
河村 洋
親米NGO代表
しかし、オバマ政権は二国間外交よりもヨーロッパ統合を優先している。ヒラリー・クリントン国務長官は「選挙で、親EUの労働党が二国間主義の保守党に勝つことが望ましい」と口にしており、エドワード・デービー氏がこの件に関して、ウィリアム・ヘイグ氏に問い質している。しかし、そうした汎ヨーロッパ主義のアプローチでは、ヨーロッパ諸国が必要なら主権国家として行動してしまうので、大西洋同盟を弱体化させかねない。
さらにスタインハウス氏は「ヨーロッパの政治家達は、本音ではバラク・オバマ氏を『軽薄』としか見なしていない」とも語った。大統領候補であったオバマ氏がヨーロッパを訪問した際には、メディアと若者達は狂喜したが、玄人の政策形成者達はそのような「ロック・スター」には良い印象を抱かなかった。
英米関係に関しては、大西洋同盟重視の保守党が選挙に勝つ可能性がかなり高いので、これが逆説的にヨーロッパ統合推進派のオバマ政権とぎくしゃくした関係になりかねない。アメリカのオバマ大統領はイギリスとの関係を「特別」な関係とは見なさず、むしろ共通の価値観と国益を有する同盟国よりも、ロシア、中国、イランといった挑戦国や敵対国との対話に熱心である。しかし対テロ戦争でイギリスほど多大な貢献をしてきた国はない。またEU加盟国は、ブリュッセルの官僚機構が自分達の必要性を充たせない時には、自国の国益を優先させてしまう。
来る総選挙で親欧派の労働党が勝つか、二国間主義の保守党が勝つかで、大西洋と世界の安全保障はかなり変わってくる。同時に、誰が選挙に勝とうとも、イギリスが今後も国際政治での交流のハブの役割を果たすことを忘れてはならない。王立国際問題研究所の討論とアダム・スタインハウス博士の講演は、そうした脈絡から理解されるべきである。(おわり)
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