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2010-04-19 00:00
(連載)米ロの核軍縮条約締結と中東(1)
水口 章
敬愛大学国際学部准教授
4月8日、オバマ米大統領とメドベージェフ・ロシア大統領がプラハで核兵器削減の軍縮条約に調印した。このことが中東地域にどのような影響を与えるのかについて、当然考えねばならないだろう。ここでは短期的に生じると考えられる2点について述べておこう。1つは、イスラエルの核兵器に関する問題、そしてもう1つは、イランの核開発阻止のための国際協力の問題に関することである。
前者については、ネタニヤフ・イスラエル首相が4月12日からワシントンで予定されている核安全保障首脳会議への参加を取りやめ、代理としてメリドール副首相の出席を決めたという影響が既に出ている。オバマ大統領の提案である「核なき世界」の実現は、同大統領が自ら語っているように、長い道のりではある。しかし、米ロが削減に動いたことは、核兵器保有国にとって当然圧力となる。
イスラエルでは1960年代に核兵器開発が行われ、67年戦争(第3次中東戦争)で実戦配備されたと推測されている。2007年にはオルメルト元首相が核兵器保有について言及しており、08年にはカーター元米大統領がイスラエルの保有核兵器数は150発以上であると発言している。こうしたイスラエルに対し、今後、オバマ大統領をはじめ国際社会としては、最低でも核拡散防止条約(NPT)への加盟を要請すると考えられる。
イスラエルと米国間には現在、中東和平問題においても入植地での住宅建設計画の凍結問題を巡り意見の対立が見られている。ネタニヤフ政権となってから「国際的な秩序形成を無視するイスラエル」という印象が国際社会に広がりつつあり、その中で米・イスラエル関係も悪くなっている。4月9日にジョーンズ米大統領補佐官(安全保障担当)は、ネタニヤフ首相の核安全保障サミット欠席について「(両国の)関係が良好であることには、かわりはない」と述べている。
米中間選挙に向けて、オバマ政権も国内のユダヤ関連団体の動向が気になるところであり、イスラエルとの軋轢を増したくはないだろう。しかし、オバマ政権がイランの核開発問題に強い姿勢で臨む一方、イスラエルに対しては柔軟な姿勢を示せば、国際社会における同政権の外交の信頼性は低下するだろう。したがって、オバマ政権の対イスラエル政策の舵取りは、今までになく重要となっている。(つづく)
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