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2010-04-20 00:00
(連載)米ロの核軍縮条約締結と中東(2)
水口 章
敬愛大学国際学部准教授
次に、第2番目のイランの核開発問題への影響について考えてみる。4月8日行われたオバマ、メドベージェフによる条約調印後の共同記者会見において、両首脳は、「イランが安保理およびドイツのコミットメント・グループの提案に応じないのは遺憾であり、対イラン制裁の追加の必要性がある」旨に言及した。イランのアフマディネジャド大統領は、その翌9日に「原子力技術の日」の式典で、「従来のものに比して6倍も高い能力の遠心分離機の開発に成功した、またナタンツの濃縮施設の分離機を8600機から6万機に増大させた」旨を表明している。イラン側はあくまで強硬姿勢を貫くことを表明したわけである。
イスラエルとイランは、相互に相手を脅威と感じ、軍事的対応も検討している。イラン側では、アフマディネジャド大統領が、この外的脅威を利用して、反イスラエル・反米をスローガンにする革命防衛隊を中心とした勢力基盤の強化を行っている。中東地域では、それが紛争発生の蓋然性を高める要因となっている。この要因を取り除くには、国連を舞台に安保理が両国に「対話と圧力」の行動をとらねばならないだろう。
例えば、次のようなことが考えられる。イスラエルに対しては、南アフリカやリビアのように核兵器を放棄するプロセスを示すことを要求し、その果実として中東域内諸国との相互承認、相互不可侵、安全保障措置などを内容とする“中東安全保障条約”の締結を提示する。
他方、イランに対しては、ウラン濃縮停止の果実として、イランのエネルギー産業への経済制裁の一部解除を提示する。「核兵器なき世界」は、これまでのような政策選択では実現することが出来ないのは確かである。オバマ大統領のノーベル賞授賞の意味は、今回の米ロの核軍縮条約締結だけで十分とはならないだろう。(おわり)
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