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2010-04-25 00:00
イランの核開発問題めぐる国際社会の動き
水口 章
敬愛大学国際学部准教授
4月17日から2日間の日程で、イランの首都テヘランで核軍縮と核の平和利用を訴える国際会議が開催された。イランのハーメネイ最高指導者は、同会議の開催にあたりメッセージを出した。その中で、イランの核兵器開発疑惑を否定するとともに、イスラエルの核兵器保有を容認しながらイランの核開発を否定している米国の二重基準を非難した。こうした米国とイランの関係に関し、近く国連安保理を舞台に一つの動きが見られそうだ。米国は間もなく、安保理にウラン濃縮を続けるイランに対する制裁強化案を提出すると見られている。
現在、米国は4月の安保理議長国である日本の岡田外相との意見交換や、イラン核開発問題のコミットメントグループ(常任理事国およびドイツ)内での協議を重ねている。米国は同グループ内の合意が形成できれば、続いて非常任理事国との協議を行う予定である。しかし4月16日、非常任理事国であるブラジルとトルコは、ブラジルでの外相会議後の共同記者会見で、対イラン制裁強化に反対する姿勢を表明した。この2国は、既存の核兵器保有国が他国の核開発を懸念し、その開発を阻止することは、公正の原則に反すると考える開発途上国の立場を代弁している。イランの核開発についての問題は、ハーメネイ師が述べるように、平和利用のためだけの開発であるとのイランの主張を信用できるかどうかという点である。
この点に関し、注目される新たな情報が日本から発信された。第1は、4月6日付産経新聞の記事で、弾道ミサイルと核開発でイランと北朝鮮の科学者の交流を伝えたものである。第2は、ドイツのハンデルスブラット誌に寄稿された小池元防衛相の記事である。内容は、北朝鮮の技術者がイランとシリアで活動している状況、および北朝鮮の「ヨンガクサン総貿易会社」がイランへのミサイルや核技術輸出に関与していることを指摘している。一般的に北朝鮮は経済困難の中で、多額の外貨を稼ぐために武器や関連技術を輸出していると考えられる。上記の2つの情報の検証はまだされていないが、事実としてあっても不思議ではないほど、イランと北朝鮮の結びつきは強い。
イラン関連の報道では、他にもいくつか気になるものがある。4月17日付ニューヨーク・タイムズ紙が、1月にゲーツ国防長官がジョーンズ大統領補佐官(安全保障担当)に対し「オバマ政権は対イラン政策について効果的かつ長期的観点での政策立案が出来ていない」と懸念するメモを送っていたと報じた。また、4月16日付けのUPI通信は「アフマディネジャド政権は、文明対話を提唱したハタミ前大統領の国外渡航を禁止している」と伝えている。昨年6月の大統領選挙から10ヶ月が経った。イランは国際会議を開催し、自国との連帯相手を必死に集めようとしているが、外交的孤立感は深まっているように見える。それを裏付けるように、軍事力を強化していることをことさら内外にアピールしている。イラン国民はそのことをどう感じているだろうか。
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