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2010-05-01 00:00
(連載)「地球の平和と豊饒」への貢献度を優先せよ(2)
角田 勝彦
団体役員
実は、指数作成を待たずに、国民の意識調査により、国民の満足度などは把握できる。2005年の国勢調査では、貧困者の多いブータンでは97%が「幸せ」と答えた由で、GNHの一つの根拠になっている。日本でも内閣府は、本年4月27日初めて、「幸福度」についての意識調査を行った。4000人に対し「とても幸せ」を10点、「とても不幸」を0点とし、「どの程度幸せか」を尋ねたのである。結果は平均で6・5点だった。同様の調査を行っている欧州28ヵ国の平均は6・9点である。トップはデンマーク(8・4点)で、北欧の国々や英国(7・4点)、フランス(7・1点)などが高い。日本は、東欧諸国やロシア(6・0点)は上回った。
「幸せ」と感じている割合は、男性より女性の方が高く、高齢者で低くなる傾向があった。「幸せ」の判断材料としては、健康や家族、家計を挙げる人が目立ち、社会の幸福度を高めるため政府が取り組むべき課題では、「安心できる年金制度」がトップだった。現状への不満も、年金が最も多かった由である。
国民にこのような認識がある以上、あらたに幸福度指数を開発しても、日本が世界一幸福な国との結果は出そうもない。
他方、世界への貢献度については、日本は高い評価を受けている。読売新聞とBBCが昨年11月から今年2月にかけて33ヵ国で実施した世論調査によると、国際社会に影響を及ぼす17ヵ国・国際機関のうち、日本は「世界に良い影響を与えている」と評価したのは53%で、ドイツの59%に次ぎ、欧州連合(EU)と並んで2番目だった。昨年の同様の調査では56%で、ドイツ(61%)、英国、カナダに次ぐ4位、一昨年は56%でドイツとともに一位だった。なお2005年の米メリーランド大とBBCの共同世論調査では、世界にもっとも「良い影響を与えている」と見られた国は日本だった。
筆者は、主権国家を「神」、中央政府を「教会」とする「現代」は終りつつあり、1960年代以降、特に冷戦が終った頃から、政治・経済・社会・文化・芸術・スポーツなどあらゆる面での人間解放を意味する「ニュールネサンス」が進展してきていると見ている。この大変容は、主権国家並立体制の変化、「知本主義」の誕生、世界一体化、さらに個人の全人的解放とひとりだちを中心としている。日本は、この間、非戦の新生民主国家として平和と繁栄の大国を建設してきた。日本は、知が産む富及び生活文化と伝統智(「和」や「知足共生」の概念を含む)を基礎に、今後、繁栄と文化創造を誇る「ニュールネサンスのフィレンツェ」になり得よう。非核への貢献やODA、投資などで、自国のみでなく、地球の平和と豊饒へ貢献することにより、GDPの順位は下がっても、日本は世界の好意と尊敬を維持することができるのである。(終わり)
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