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2010-05-05 00:00
鳩山総理の「知らなかった」発言を聞いて、思うこと
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
鳩山総理の沖縄での発言をテレビ・ニュースで見、新聞で読んで、核兵器を持たず、平和外交を標榜する日本にとって、外交の重要性を再認識させられました。「米軍の抑止力を知らなかったが、学べば学ぶほど分かってきた」そうですが、世界の軍縮や核拡散防止の問題は、世界中どの国も戦争したくてする国は無く、国家財政上も軍縮は望ましいはずです。それがすぐ核放棄、軍縮に進まない理由は、世界各国とも平和維持のために軍事力のパワー・バランスに細心の注意を払っているからです。従って、日本も、たとえ核兵器を保持しなくても、世界のパワー・バランスをしっかり把握していないと、いくら「戦争反対」を唱えても、何の説得力も持ちません。「抑止力」というのは、そのパワー・バランス上の問題で、日本の思う通りにすぐ米国だけが動けるものではありません。逆に日本は世界のパワー・バランスを崩そうとしていると世界から要注意国とみなされる可能性すらあります。
世界のパワー・バランスは、固定したものではなく、様々な要因で時代と共に変化するもので、べルリンの壁崩壊やソ連の崩壊による冷戦の終結は大きな変化要因でしたが、その後も常に変化しています。日本外交にとっては、その辺の分析をしっかりとすることが、世界外交をリードする上では、核を保有することよりも重要だと思います。次に、戦争反対・平和主義を貫く上できわめて重要なのは、外交で先手を取ることです。日本の太平洋戦争を良く考えてみても、戦争を仕掛ける羽目になるのは、必ず外交で敗れた方です。外交で敗れた方が、戦争を仕掛けるという鉄則を忘れてはいけません。従って外交力の弱い国が周辺にあると、パワーバランスを崩そうとするのできわめて危険であり、それをさせないのが「抑止力」でしょう。
憲法上「紛争を解決する手段として戦争を放棄する」といっても、外交交渉に負けたとき日本は果たして泣き寝入りが出来るのでしょうか。戦争放棄を誓っている限り、外交交渉ではいつも有利に展開し続けない限り、不戦の誓いは守れないかもしれません。しかし仮に外交上優位に立っても、抑止力が無いと、かえって相手から戦争を仕掛けられる危険があります。日本は外交ベタだと言う人がよくいますが、「戦争放棄」を憲法で誓った平和外交とは、外交力を持って世界のオピニオン・リーダになり、世界のパワー・バランスをにらんで抑止力を確保し、世界を軍縮に向かわせる必要があります。
「抑止力」とは、最近まで単なるサラリーマンをやっていて全くの外交音痴でド素人の私でも以上のように理解します。鳩山総理の学んだ結果の「抑止力」の理解をお尋ねしてみたいものです。最後に、普天間問題ですが、もし仮に私が米国サイドの人間であれば、この期に乗じて基地移転費用の全額や今後のキャンプ維持費用の大幅増額を当然日本側に強硬に要求します。なぜなら、今回のごたごたはあくまでも日本国内の問題であり、米国側には何の責任もないと主張できるからです。日本側の負担でなければ、一旦決まりかけた話をほっつき返して、沖縄や徳之島の方々の民意に反した変更などは、真っ平ゴメンです。財政赤字が莫大になっている折、財政負担増額以外の落とし前をつける方策やアイデアが民主党政権から出てくるか心配です。試しに仮の私に反論してみて下さい。
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