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2010-05-10 00:00
(連載)「こんな日本でもできる外交」のススメ(2)
河東 哲夫
元大使
戦後の日本は、米国に守ってもらうだけで、この面では自分で世界に貢献しないから、日本は国際政治面で常に軽んじられてきた。今のままでは、政府や外交官がどのように説明しようとも、外国人の尊敬を(この面で)得ることはできまい。日本人が平和に徹しているから誰も日本を攻撃しようとしない、のではない。米軍が日本に基地を構え、日米安保条約で日本防衛の責任を負っているから、日本は平和でいられるのだ。このことを外国の連中はよく知っているから、米軍のことは恐れても、(このことで)日本人を尊敬しようとは思わない。
国連PKOへの参加を強化・拡大していくと、いつかは犠牲者がでるだろう。そこは、政策担当者は言い繕うべきではない。北欧のあの平和なデンマークでも、アフガニスタンで何人もの兵士がなくなっている。だが、その犠牲こそが、他ならぬ祖国の立場防衛、孤立防止のための犠牲なのであり、最高度の感謝、名誉そして補償をもって遇するしかあるまい。
海兵隊は、沖縄などでときどき悪さをする。「だから、地位協定を改正して、裁判を日本側でできるようにしろ」という声がある。それはもっともだが、そのための難しく、そして時間のかかる交渉を始める前に、アメリカ一国だけでできることを、まず自発的にやってもらってはどうだろうか?どの国の軍隊にとっても、基地の地元住民の共感を得ることは鉄則だ。米国の兵士は、除隊のあと大学入学の優先枠とか種々の優遇措置が得られることを非常に大事に思っているのだから、地元民に犯罪を働いた兵士からは、その優遇措置を受ける権利を剥奪してしまえば、効くだろう。
まあ、いずれにしても安全保障の問題についての日本国民の拒否反応、そして近年の内向き現象もあって(「世界」とか「外国」などは、無きがごとしだ)、日本政府ができる外交の幅は限られている。でも、若手の外交官と話してみると、こうした中でもやる気は失っていない。新たに試験を受けて外務省に入ってくる若手も、質は落ちていないそうだ。彼らは経済外交などでいくつかアイデアを磨いていて、現在の政治的な制約のなかでも生きがいを求めようとしている。外交は外交官の専売特許ではないので、政治家、学者、マスコミ、社会全体との風通し、議論をよくしながら、「日本でもできる外交」を追求していってもらいたい。(おわり)
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