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2010-06-04 00:00
民主代表選は、樽床擁立で「小沢色」薄める茶番
杉浦 正章
政治評論家
小沢側近が、寡聞にして誰も知らない衆院環境委員長・樽床(たるとこ)伸二を担いだことが何を意味するかだが、どうみても“茶番劇”だ。「脱小沢」を演出して菅直人を首相に選出しなければ、参院選挙が持たないからである。「親小沢」の菅が無投票で選出されては、せっかく参院選向けに「小・鳩体制」を崩壊させた効果を帳消しにしてしまう、からに他ならない。樽床には悪いが、ピエロの役を今日一日演じて、菅代表選出をプレーアップするのが仕事だ。小沢一郎のかけた大網が樽床擁立だ。
今回の民主党代表選挙は、岡田克也、前原誠司、仙谷由人など反小沢の代表候補がこぞって菅支持を表明した。これは短期決戦を小沢に仕掛けられて、態勢が整わないのに加えて、参院選を敗北させた首相になりたくないという逡巡(しゅんじゅん)があるからだ。全員が、事実上「脱小沢」を条件に挙げて「親小沢」の菅を押す、という皮肉な図式が成り立った。近ごろの政治家は、国家危急の時にも打算・計算が働くらしい。しかし結果的には、マスコミは菅陣営を「脱小沢」または「小沢包囲網」の印象で報じており、狙いは成功している。菅自身も「幹事長も国民の不信を招いたことで、少なくともしばらくは静かにしていただいた方がいい」と述べているが、これは語るに落ちた話だ。あくまで「しばらく静かに」なのである。菅は「小沢に会おうとしても、会えない」と述べているが、両者にとって「会わない」のが正解なのだ。
一方の小沢にとってみれば、政治とカネと普天間大失政で「小・鳩体制」を崩壊させたうえに、自分がしゃしゃり出ては、せっかくの「辞任効果」がなくなる。ここは本格候補を立てて戦う場面でない、ことは誰にでも分かる。海江田万里や原口一博などを立てて、党を2分する戦いを展開する場面ではない。むしろ両者は温存しなければならないときだ。そこで考えついたのが“当て馬”候補の擁立だ。小沢の側近三井辨雄(わきお)をして擁立せしめたのが樽床なのだ。それも小沢グループが全力を挙げて投票するのではなく、自主投票というのだから、底が割れている。こうして民主党代表選挙は、血で血を洗う分裂選挙を回避しながらも、無投票で菅選出という民主主義政党としてあるまじき事態を、表面上回避できた。
加えて、「脱小沢」もマスコミ・有権者には印象付けられる結果となった。この絵を描いたのは誰かを推察すれば、明らかに小沢一郎の影がちらつく、と見なければなるまい。小沢は当分「死んだふり」をしながら、9月の本格代表選挙にむけて、牙を磨く姿勢をちらつかせて、菅をけん制するのだろう。しかし、いったん政権を取った菅は、田中角栄の院政を何とか抜け出そうとした首相・中曽根康弘とそっくり同じ立場となる。中曽根は、田中の脳梗塞でくびきを逃れたが、いかに「小沢切り」をするか、また出来るかが焦点となる。形の上では整った「小沢包囲網」を、人事や政策で具体化し、小沢封じ込めを達成できるかどうかだ。小沢にしてみれば、「死んだふり」が「そのまま死亡」につながりかねない局面でもある。過去の軌跡から言って、今後野党との政界再編の動きを含めた行動も、選択肢に入れると見ておいた方がよい。
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