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2010-06-21 00:00
(連載)若者の眼を世界に向けさせるための富くじを(1)
角田 勝彦
団体役員
内向化する日本の若者の覇気を回復させる最善の方法の一つは、世界との接触である。これに必要な資金獲得のため、その目的の富くじの発行が考えられる。7月11日の参院選に向け、各党は、それぞれの立場から、日本再生の公約を掲げて選挙戦に臨んでいる。なんといっても重要なのは、この混迷の時代にあって、国民、とくに若者が夢と希望を持って、意欲的に将来に臨むようにすることである。社会の活力を増大させることである。
働く若者の数は、2009年度516万人と10年間で約200万人も減少した。雇用回復の遅れという経済的要因もあるが、少子化(人口減)と高学歴化という社会的要因も大きい。勤労意欲の問題もある。せっかく就職しても、いろいろな理由から、卒業から3年以内に中卒者の約7割、高卒者の約5割、大卒者の約4割が職を離れる。意識も変化している。ある民間調査会社の昨年12月の新成人に対する調査では、「自分は草食男子」とする者が5割超だった。また、最近の「全国家庭動向調査」(国立社会保障・人口問題研究所)では「妻は主婦業に専念すべきだ」と考える既婚女性の割合が、これまでの低下傾向から逆転上昇し、45%に達した。
仕事や恋愛・家庭だけではない。 米民間団体の国際教育研究所がこのほどまとめた2006年度(学年度末は07年6月)の米大学への外国人留学生調査によると、日本人留学生は前年度比9%減の3万5282人で、国別でインド(8万3833人)や中国(6万7723人)、韓国(6万2392人)に次ぎ4位にとどまった。日本は1994年度から98年度まで最大の対米留学生輩出国だったが、97年度の4万7073人をピークに減少が続いているのである。原因として、日本の若者が内向き志向を強め、外国に興味を失っている可能性も指摘されている。
要するに、最近、日本の若者は覇気を失っている。ところで、外務省で最後の任地が南米ウルグアイだったため、私はウルグアイと縁が深い。この関連で、5月中旬、元気なウルグアイの学生約180人と懇談する機会があった。彼らは、恒例の卒業研修世界旅行中に2週間の予定で日本を訪れている共和国大学建築学部の学生であり、建築学部の世界旅行は65回目という。ウルグアイからは東京国際フォーラムの設計者ラファエル・ヴィニオリのような有名な建築家が出ているが、一人あたりGDP約1万ドルの国で、これほどの卒業旅行ができるのにはわけがある。聞けば、その資金源は、建築学部に認められてきた富くじの発行であった。(つづく)
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