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2010-06-22 00:00
(連載)グローバルな役割を担う21世紀の日米同盟(2)
河村 洋
親米NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
イギリスの撤退後は、ニクソン・ドクトリンの支持を受けたシャーのイランがペルシア湾の憲兵の役割を担った。シャーがアメリカのトップ・ガンであったF14戦闘機を購入した時には、イラン帝国空軍は「アケメネス朝ペルシア帝国の領域であったエジプトからインドまでの空域を制圧できる」と豪語した。イランの親欧米政権が健在であれば、サダム・フセインが自分をナセルになぞらえるような誇大妄想を抱いてクウェートに侵攻することもなかったであろう。またソ連による1979年のアフガニスタン侵攻の影響もそれほど深刻にはならなかったであろう。
イラン人は、インド・ヨーロッパ系の古代アーリア人の子孫なので、パーレビ政権はアラブ・イスラエル紛争では中立であった。さらにキュロス大王はユダヤ人をバビロニアの圧政から解放している。そのため、イランは湾岸地域でアメリカの憲兵役を担うにはうってつけだった。シャーの体制が1979年に崩壊すると、中東とインド洋でのアメリカの関与は急激に高まった。湾岸戦争よりもはるかに前に、日米同盟は世界規模の安全保障体制に進化していたのである。
現在、第7艦隊を含めた太平洋地域のアメリカ軍は、スエズ以東の広大な力の真空を埋めている。インドなどの地域大国が、かつてのイギリスやパーレビ・イランの役割を担う意志や実力を備えることは考えにくい。不幸にも日本の政治家と論客達は、依然としてこの点を見落としている。例えば沖縄の米軍が他の場所に移転しようものなら、スエズからパールハーバーに至る広大な地域で力の真空が生じるのである。グアム島でも、テニアン島でも、ディエゴ・ガルシア島でも、日本にある米軍基地の代わりにはならないのだ。
21世紀での日米同盟の深化と発展のためには、日本国民が世界全体の安全保障システムを理解し、ヨーロッパにも、中東にも、他の地域にも、目を配らねばならない。高校の世界史では「歴史を縦糸と横糸、すなわち年代を追った因果関係とある地域の出来事が同時代の他地域に与えた影響を併せて理解せよ」と言われる。鳩山由紀夫前首相が、高校の世界史の基本的な原則さえ理解していなかったことは残念である。よって日本の指導者達は、21世紀の日米安全保障体制の再建には、二国間関係、東アジア情勢、ワシントン政治を超えて、世界全体に目を配るべきである。両国の同盟は、湾岸戦争よりはるか以前からグローバルな意味をもつようになっているのである!(おわり)
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