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2010-06-24 00:00
経済成長の原動力は民間にある
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
経済成長の原動力は、政府ではなく、民間経済を活発化させて付加価値を増やすことが必要です。政府財政には付加価値を生み出す機能はありません。不況の原因は、民間の実のある需要が牽引しなくては打開できません。政府による一時的な赤字財政による需要喚起策は、あくまで景気循環の下降局面を一時的に抑えるくらいで、恒常的な財政支出が経済成長を牽引するはずはありません。日本のような国土も狭く、資源もなく、人口密度の高い国が豊かになるためには、世界市場に向けて富を拡散するような、開けた国家経済を構築することに尽きます。せっかく貿易黒字があるのだから、内需を高め、日本企業を育てるため個人所得税はじめ減税を行い、個人消費を高めることが必要です。この20年、福祉国家目標や社会民主主義の名の下に、政府がリードして低所得者の保護や社会保障の充実を、各国とも標榜してきましたが、それは権力志向の政治家が選挙目当てに詭弁を使ってきたためだと思います。その点にいち早く気づいて、各国の財政矛盾を突いて暴れ、ゼロサムゲームの利益をむさぼり、最後は政府に肩代わりさせて来たのが、ヘッジファンドなどの金融筋です。
民主主義の政府とは、万能ではなく、ましてや国民の上に立ってリードするのではなく、税金の使い方を任され、国民を足元から支えるのが本来のあるべき姿で、増税する政府は無能な政府だと思います。民間ではできない社会の安定、治安の維持、国の安全保障、世界各国との親善外交を行い、その国の国民が世界の舞台で自由に活動できるような開放的な国際関係を構築するのが、政府の役割です。国民に任せてもらえなくなったら終わりです。政府とは、自国民の底力・潜在力を信頼すべきもので、あくまで主権在民であり、納税者が主体です。よく官僚や政治家が「民間に任せるとロクなことにならない」と考えているようですが、実は我々も「政府に任せるとロクなことにならない」と感じています。例えば、ベビーブーマ世代が40年近く積み立てた年金資産はどこへ行ったのですか?なぜ人口減の若者世代に負担させなければいけないのか、よくわかりません。自分達の積み立てた分を取り崩したいだけなのに。
国民一人一人が自分の職業を通じて、自らの生活と家庭を維持できるのが原則であり、税収不足などというのは、何かが狂っています。低所得者への支援は、いかにして所得を引き上げるかがポイントで、所得の上がった人が累進税によって国家から罰を受ける仕組みは、間違っています。内需拡大策とは、いかにして中産階級や中流といった層を増やし、その可処分所得を増やすことができるかにかかっています。格差を解消するためには、皆が低所得の苦しみを分かち合うのではなく、皆が職業によって自立して、向上するよう、差別や偏見、身分や地位の固定をなくすることが先決です。
政府が社会の安全や安定を守り、個人は自由主義の下自らの努力によって結果責任を負える社会、最小でも自らの生業によって自分を養える社会、それが人の幸せ、人生の幸せの第一歩だと思います。弱者や被害者等の救済のための寄付金や義捐金が盛んになるような健全な社会モラルや社会制度を整えるべきです。国家権力が、所得の上がった人たちから税金を取りたてて、配る循環は、かならずどこかでストップしましょう。大金持ちを多数作ることではなく、多くの国民を中産階級、中流に引き上げ、その人たちが十分消費行動がとれるような社会システムを作ることが、重要です。需要があり、付加価値があり、供給があるという、バランスのよい循環を通じて、社会全体を豊かにすることが大切です。米国のオバマ政権はもとより、英・独・仏をはじめとするユーロ各国、そしてIMF、さらには中国ですら、最近20年間の経済政策を見直し、その方向感が密かに変化してきているように感じます。日本は彼らについてゆくのではなく、先取りしてゆきましょう。
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