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2010-07-04 00:00
金融規制は、資本規制でなく、行動規制で
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
米国とユーロ圏との間で金融規制に関して意見の相違があるそうですが、日本の案はどうなっているのでしょうか。どうもはっきりしません。私の経験からいくつか提案します。金融機関の安全性確保の為の自己資本規制には余り賛成できません。なぜなら金融機関が増資ばかりに走るからです。行動規制をするほうが適切だと思います。
一つは、銀行はお金以外は貸してはいけない。すなわち債券や株式などを貸してはいけないと規制することです。証券市場で空売りを規制するよりも、大口の国債・債券や株式の貸手である銀行や証券会社に行動規制するほうが、効果的な気がします。小口の個人や一般企業に一々規制する必要は無いと思います。まして市場を規制するには及びません。
二つ目は、金融機関のファンド・オブ・ファンドの投資は規制してはどうでしょうか。自らが直接投資する投資信託や、ファンドを直接投資家に販売する事は認めてよいと思いますが、ファンド・オブ・ファンドはサブプライム問題のように、多重リースと同じで、リスクの所在と運用者の責任が分からないまま自己増殖し、破綻した時の最後の責任は、政府が金融機関のため肩代わりする羽目に陥ります。
三つ目は、1930年代のグラスティーガル法の重要性です。銀行に株式保有を禁止したものと理解していますが、株価の上下で銀行経営が動揺してはまずいと思います。特に日本の大手都市銀行の株式保有目的は、融資先の確保よりも、融資可能な優良企業への天下り先確保の面がありました。そんなことで、株価の上下が銀行本体の収益に影響し、堅実をモットーとするはずの銀行経営に悪影響を及ぼしてきたのです。すなわち、金融機関はあくまで本業に徹すべきで、ゼロサムゲームの利益は追うべきでありません。競馬場の所有者や競争馬の育成者は自ら馬券を買わないという考え方と同じです。
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