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2010-07-06 00:00
民主党過半数割れ後の4つの可能性
杉浦 正章
政治評論家
1週間ごとにドスンドスンと急落する菅内閣支持率の意味するものは何かというと、あと6日間の勝負になった接戦区で、自民党とみんなの党が有利になることを意味している。この下げは投票日に向かってなお続くだろう。終盤戦では、与党による参院過半数割れが、「微妙」の段階から「ほぼ確定的」の段階に移行しつつある。首相・菅直人も、幹事長・枝野幸男も、選挙後を意識した発言が目立つ。その場合、政局はどのような展開を見せるかをシュミレーションしてみた。とにかく、支持率の急落がすさまじい。政権発足当時と比較して、NHKが20%、朝日が21%、読売が19%と、鳩山前政権でもなかった急落ぶりだ。この急落ぶりが意味することは、大接戦を展開している1人区で自民党が競り勝つ可能性を濃くしていることだ。みんなの党も比例区で7議席程度、東京や3人区の千葉などで議席を獲得しそうだ。当初予想したとおり、みんなの党は10議席台に乗り、参院選の台風の眼となり、公明党を獲得議席数で上回る方向だ。こうした状況から、民主党は50議席そこそこ、良くて53、4議席と、国民新党を足しても56議席の過半数に達しない傾向となりつつある。
その場合、選挙後の政権はどのような形になるかだが、まず菅自身の進退は、既に「辞めない」発言を繰り返し、布石を打っている。「4年間で4人の首相が代わった後の私の政権です。首相が代わってばかりいると、外国から日本の政治の弱体化とみられかねない。責任を持って安定政権をやらせていただきたい」と、負けても政権維持の構えだ。それではいかに政権を維持するかだが、4つのパターンが考えられる。それは(1)ミニ政党や無所属をかき集めて新連立を組み、56議席を達成する、(2)公明党、みんなの党との連立を模索する、(3)一挙に自民党との大連立をする、(4)ねじれはそのままにして、政策ごとの部分連合を目指す、の4パターンだ。
(1)のミニ政党かき集めは、既に菅自身が党首討論で新党改革代表・舛添要一に「一緒にやろう」ともちかけるなど、動きが始まっている。しかし新党改革も、たちあがれ日本も、それぞれ2議席程度しか残存議席が無い状況下で、数合わせが可能かどうかだ。足しても、足りなくなる可能性もある。(2)の公明、みんなの抱き込みだが、選挙直後には困難だろう。公明とは、小沢一郎と市川雄一の「一・一ライン」を活用する手があるが、干されてすねている小沢をどうなだめるかが先決だ。みんなの党抱き込みは、郵政改革法案を捨てなければ、むりだ。同法案を断念するということは、国民新党との連立を切ることに直結する。また支援を受けた全国郵便局長会(全特)も切ることになり、衆院選挙を考えると、いくら菅でも、簡単にはやりきれないだろう。(3)の自民党との大連立だが、あながち荒唐無稽(むけい)ではない。消費税増税、それも税率10%で一致しているのだ。消費増税を政局に直結させないで実現させるには、これしかあるまい。しかしこの大舞台回しをできる人物がいるかどうかだ。小沢は自民党に信用がないから無理、という前提に立てば人がいない。
こうみてくると、(4)の政策ごとの部分連合の可能性が一番高くなってくる。大平正芳が唱えたパーシャル連合だ。菅が部分連合の核に消費増税を置けば、自民党もむげに反対できないだろう。もっとも大平が急逝したのは、そのパーシャル連合がうまくいかず、与党内から突き上げを食らったことも原因している。部分連合と言っても、本質は“ねじれ”であり、民主党が自民党政権にしたことと同じ仕返しを食らう可能性の方が大きい。いずれにせよ、過半数割れとなれば、いかに大きな壁が民主党政権の前に立ちはだかるかを意味することになろう。
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