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2010-07-07 00:00
「事業」だけでなく「規制」も「仕分け」せよ
角田 勝彦
団体役員
参院選後、新内閣がまず本腰で取り組むべきは、6月18日に閣議決定されたばかりの「新成長戦略」の具体化であるが、そのためには「賢い規制緩和」(2010年2月4/5日付本欄拙稿)が必要であり、その促進のため、規制について「仕分け」を行うことを提案したい。煮詰まってきた参院選の各種予測を見るに、連立を組む民主党と国民新党が参院で過半数(非改選を含め122議席)を維持するため必要な両党合計で56議席以上の獲得は困難で、選挙後、新連立の動きや民主党内の執行部責任追及などごたごたがあるかも知れない。とくに9月の任期満了による民主党代表選を見越して、牙を研いでおり、民主党の分裂を辞さないかも知れない小沢一郎前幹事長の動向が注目される。しかし民主党が衆議院で300余の議席を保持する基本的安定状態があり、小沢派の勢力に数の限界がある以上、ねじれはあまり重視すべきでない。参院選前の各党の発言はともあれ、政策面の近似(たとえば消費税)がある以上、パーシャル連合に収斂する蓋然性が高いのである。
さて日本のみならず世界的に現在最大の関心を集めているのは、G8(ムスコカ・サミット)及びG20(主要20カ国・地域首脳会議)の声明に現れたように、経済成長と財政健全化である。とくに6月27日のG20首脳宣言は先進国が2013年までに財政赤字を半減させる目標を盛り込んだ。ただし、財政状況が先進国中で最悪とされる日本については、先に決定した財政運営戦略と新成長戦略を「歓迎する」とし、事実上の例外扱いを認めた。世界経済の減速懸念や国内の政策効果の一巡から、2009年4月からの景気回復に不透明感が漂ってきた日本としては、歓迎すべき動きだった。中国などの成長を見て市場経済に対する国家資本主義の優位を説く説もあり、「増税による経済成長」(民間に任せては投資されない成長分野に増税で増加する財収を投下して経済を成長させる)論もあるが、たとえば平成9年の消費税増税が景気失速を招いたのは歴史的事実である。国営企業による計画主義経済の失敗は、中国がもっとも良く知っているところである。
もちろん「市場経済」といっても、「自由放任」にせよという意味ではない。米国が最近、金融規制改革法成立へ踏み切ったように、適切な規制は必要である。経済成長(及び雇用増)を図るためには、民間経済を活発化させて、付加価値を増やすことが必要なことは論を待たない。 そして民間経済の活発化のためには、企業が主役になる。とくにハードとソフトの両面で革新的技術革新が毎日のように行われている現在、これを活用する企業を支援することが重要である。日銀も最近では脱デフレを目指して、新成長部門への資金供給政策を打ち出した。だが有望な企業に対しては、政府資金の供与も必要ない。国内で漫然と滞留している1453兆円(2009年度末)の個人金融資産は、わずかでも有利・確実な配当が見込まれる投資先を求めているから、外資導入を図る必要すらない。
企業の創造的活動のさまたげになっているのは、多くの場合「安全」や「過当競争防止」などを理由に積み重ねられてきた規制である。官僚組織なくして円滑な行政は遂行できず、一部の党が唱える官僚バッシングは不当であるが、いちど作られた規制が必要性がなくなった後も惰性で継続される例が珍しくないのも事実である。これまで実行された「事業仕分け」には多くの問題があったが、いわゆる「無駄遣い」に国民の関心を集めた点などは評価しなければならない。これにならって「規制」の「仕分け」を行うことは、不必要な「規制」を廃止するという実益のほか、どこまで「安全」や「過当競争防止」を追求すべきか、「個人の自由」に対する「国家の規制」はどこまで許されるか等の長期的民主主義教育の実践ともなろう。なお「規制」は 法令と直結するから、「仕分け」の主役は、国会議員が担当することが望ましいだろう。
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