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2010-07-15 00:00
サッカーW杯を見て知る世界と日本
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
世界が熱狂したサッカーW杯南アフリカ大会が終わり、寂しさを感じている今週です。私がサッカーW杯を知ったのは、1986年です。中東の砂漠の国で仕事をしている時、たまたまテレビでW杯を見ていて、ちょうどマラドーナがイングランド戦でDF5人を抜いてゴールをしたのを見ました。それからのサッカーファンです。これまでサッカーからいろいろ感じました。日本人の常識とは違い「日本人は組織に弱い」と知ったのもサッカーからです。日本人の描く組織とは、綱引きや神輿担ぎであり、かつて日本海軍の戦艦大和や武蔵があっけなく沈められたのも組織がなっていなかったからです。綱引きや神輿は誰かがぶら下がってもわかりません。昼でも夜でも、晴れでも霧でも、なぎでも嵐でも、いつでも同じ隊形の船団を組んで、安心し合うのが旧日本海軍であったのでは?
本来組織とは、個性や特徴のないものは入る資格がなく、サッカーでは相手の特徴やピッチの状況に応じて、監督が自由に選手の個性を使いこなして、出た選手は役割をこなして勝利をもぎ取る戦いをするものです。周囲の状況把握から始まり、その対応策として組織が重要となるのです。相撲の番付になれた日本人は、選手に序列をつけて、横綱・大関に始まる有名選手から順に出せば、試合に勝てると勘違いしていました。柔道の団体戦はそれでもよいですが、チームプレーのサッカーではそうはいきません。今回のW杯は、日本も頑張ったし、スペイン・オランダはじめドイツ・ウルグアイ・ガーナ・ブラジルと国柄の特徴もあり、実にすばらしいゲームが多かったと思います。うるさくて不評であったブブゼラも、アフリカらしく、また興奮を高める効果としても許されるものと思います。また、マダコのパウル君の占いも清涼剤のようなユーモア感を世界に与えました。
貧しい国も豊かな国も、大国も小国も、民族や宗教を超え、競争や戦いの勝負の中に頑張る人間の素晴らしさを見せて、世界中を感動させました。日本人の中には、グローバル化は弱肉強食の競争社会を招くだの、格差解消のために国の再配分機能を高めるべしだの、と言う人がいますが、W杯を見ていると、単純に「勝つ」と喜び称えられ、「負ける」と責められています。悔しくても、また努力するところに、本来の人間の姿があるのではないでしょうか。W杯には、日本人があまり知らない国もたくさん出てきました。ウルグアイとパラグアイの違いや特徴がはっきりと分かる日本人は少なかったのではないでしょうか?
参議院選挙も終わり、経済成長と財政再建が世界の課題となっています。外交などに関しても、日本はとにかく世界を知り、その中で何が求められ、何が重要かを判断できるようになり、「欧米はこうだった」とか、「米国一辺倒」とか、「アメリカの言いなりになるな」とか、世界を知らない素人のような発言でブレまくる態度はなくしましょう。世界を参考にして、日本は日本で着々と世界に誇るプレーを準備して、私の眼の黒いうちに、いつか一度はW杯を制覇する日が来るのを楽しみにしています。サッカーファンは諦らめません。
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