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2010-07-23 00:00
中国、「市民社会」化の兆候の意味するところ・・・
河東哲夫
大学教授
1970年代のソ連では、スターリン粛清がもう過去のこととしてその恐怖も忘れられ、都市中産階級が広がると、権利意識をもった「市民」が社会の大きなうねりとなった。ゴルバチョフのペレストロイカは、社会主義の強化をめざしたものではあったが、このように権利意識を高めた市民の支持をかきたてて、改革に後ろ向きな共産党組織を動かすという意味も持っていたのである。
この頃は、中国についての勉強会にも随分顔を出しているが、7月20日グロコム(六本木にある)で北京在住フリーライターのふるまいよしこさんが面白いことを言っていた。「北京オリンピックを契機に、特に最近目立つのだが、お仕着せではないNPO運動とか、ボランティアが、中国の大都市では広まっている」というのだ。「食品衛生とか、環境問題とかを、自分たちの問題としてとらえて、自分たちで改善を働きかけていこうとしている。このような人たちは、日本との単純な力比べ的ナショナリズムにはまることなく、虚心坦懐に日本へ行って、日本の優れたところを吸収したいと思っている」のだそうだ。
今、中国の多くの工場で、賃金引き上げ要求のストが相次いでいるが、これほどこの時期にストが集中したということは、工員たちが何らかの手段で連絡を取り合っていることを意味しているのであるまいか? 数年前の反日デモも、携帯電話で動員された。賃上げ要求ストでも、同じことが起きているのではあるまいか?
中国と言えばすぐ、「民主化」の問題が持ち出されるが、僕はあまり舶来の言葉を使ったゲームはしたくない。ただ政治家たちの用いる言説(物の言い方、考え方)が、社会の実態からあまりにかけ離れてくると、それは中国の将来にとって問題になるだろう。日本ではそれが今日の問題なのだが。
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