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2010-07-29 00:00
(連載)イラクの自立的復興のために(2)
水口 章
敬愛大学国際学部准教授
しかし、この政策選択が例え失敗したとしても、かつてのように、シーア派とスンニー派の武力闘争による利権争いや、アルカイダが特定地域をほぼ支配するという状況に戻る蓋然性は、かなり低いと見られる。
悪いシナリオとして考えられるのは、政策選択の失敗とともに、隣国であるトルコ、イラン、シリア、サウジアラビアなどがイラクへの内政干渉を強め、イラクの中央政府の統治能力が低下し、将来を不安だと判断した国内外の企業が投資を長期的に控え、復興の足取りが遅れるシナリオである。その懸念がないとは言えない。
7月19日に、アラウィー元首相は、ダマスカスでシリアのバッシャール・アサド大統領、トルコのダウトオール外相、そしてイラクのシーア派過激勢力であるサドル派(サドル潮流)のムクタダ・サドル指導者(イランに近い)と会談を行った。この顔ぶれから考えると、その協議内容は、2011年末の米軍の完全撤退後のイラクにおける米国の影響力をいかに低下させるか、であったのではないだろうか。そのことを裏付けるように、訪米したイラクのジバリ外相(クルド)は、「イラクに対するイランとトルコの動向に対し、米国は関心が薄すぎる」と警告を行っている。
以上のことに鑑みれば、米国と国連は、イラクの政治指導者に対しては、一日も早く政治空白を終わらせるように、そして近隣諸国に対しては、イラク内政への関与を慎むように、と要請すべきであろう。それが、国連決議のもとでイラクの自立的復興を支援するために駐留軍を派遣し続けている米国と、国連の役割だと考える。 (おわり)
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