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2010-08-01 00:00
(連載)アメリカは第2のギリシャになるか(3)
中岡 望
ジャーナリスト、国際基督教大非常勤講師
もうひとつ大きな影響があります。オバマ政権の国家経済委員会議長のローレンス・サマーズは「世界最大の借金国が世界の最強の国であり得るのだろうか」と語っています。事実、アメリカの国力は急速に落ち込んでいます。たとえば、アフガニスタンへの増派ももはや同盟国の支援なしには行えなくなっているのです。それはアメリカはもはや財政的な負担に耐えられなくなっていることを意味します。オバマ大統領も「財政問題がアメリカの外交政策を弱体化させる」と認めています。
アメリカとギリシャの大きな違いは、アメリカはドル、すなわち自国の通貨で資金を調達しているのに対して、ギリシャは同じドルですが、他国の通貨で資金を調達していることです。ギリシャが資金を返済するにはドル資金を調達する必要があります。しかし、アメリカは極論すれば、インフレを引き起こせれば、債務者利得を労せずして手に入れることができるのです。基本的にアメリカには流動性の問題はないのです。ただ、財務省証券に対する投資家の信頼が低下すれば、金利が上昇するという市場メカニズムは働きます。その意味で、アメリカはいつも自由であるというわけではありません。
財政赤字問題は経済問題であると同時に政治問題でもあります。ギリシャにせよ、スペインにせよ、国内での深刻な政治的対立を引き起こしています。「アメリカのギリシャ化」は、違った意味で、無視できない問題といえます。日本の場合は、どうなるのでしょうか。非常に興味あるテーマです。(おわり)
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