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2010-08-06 00:00
広島平和式典における菅総理の挨拶に関して
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
今日8月6日に広島で行われた第65回目の原爆慰霊式典は、潘基文国連事務総長やルース駐日米国大使も初めて参加され、英・仏の駐日大使も交え、しめやかに行われたようです。潘事務総長は2020年、原爆投下から75年目に世界の核を廃棄しようとまで述べられました。しかし、わが日本の菅総理は、そんな時に「核の抑止力は必要だ」とTPOをわきまえないとんでもないことを言われました。
わが国の安全保障の問題と、広嶋の原爆慰霊式の趣旨が、理解できていないのではないかと危惧します。第二次大戦の民間人の犠牲者は、東京大空襲始め、沖縄の地上戦など、原爆被害に負けない多数の犠牲者を出しています。にもかかわらず、現在でも原爆被災者を他の戦争被災者と区別して手厚く保障し、特別扱いするのは、国際的に核軍縮を進めるための世界的象徴として重要であり、そのために長崎・広島で毎年慰霊式典が行われるものと理解します。日米安保条約による核の抑止力の問題と、国際的核拡散防止の問題と、次元を取り違えていると思いました。潘事務総長が「世界から核兵器を無くしたい」といわれた先に、「核の抑止力は必要だ」と言ってしまったら、国連事務総長は呆れて物が言えないのではないでしょうか。
私が菅総理の立場であったら、「来年こそは中国・ロシアもぜひ参加して、核廃棄へ向けた理想を共有して欲しい」と述べます。そうすれば核拡散防止条約上の核保有5カ国が揃います。同条約に未加盟のインドには既に米国が平和的に接近して原子力利用に関する提携を行いました。対抗して中国・ロシアもパキスタンに接近しています。すると、残るは、イスラエルと北朝鮮だけです。その核保有をやめさせれば、イラン問題の解決も道が開けてくるかもしれません。
とにかく世界平和の維持に向けた強い意志を示すべき機会に、何故「核抑止力の必要性」を持ち出したのか疑問です。おそらく鳩山内閣の普天間問題のすったもんだが頭にあって、わが国の安全保障や日米安保の問題を学んだばかりで、頭が一杯だったのではないか、と勘繰ってしまいます。平和を望む日本の外交方針と、日本の安全保障を確保する問題は、それぞれ次元や局面が別であり、かつての自民党は日米関係だけを考えた狭い外交であった点を批判してきた民主党には、世界の情勢を正しく把握出来る政権と期待したかったのですが、鳩山さんも、菅さんも、外交的にはプロフェショナルを感じないので、なんか心配です。 この前も国際会議でギリシャ問題に触れたら、日本に帰ってきて急に消費税の問題が出てきたそうです。外交官の方々、外交ブレーンや外交研究家の方々、皆さん如何ですか。私の心配は気のせいでしょうか。
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