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2010-08-20 00:00
グーグルとヤフーの提携認可に異論あり
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
経済界がグローバル化している時代に、日本の公正取引委員会も世界経済の視野を持った方が良いのではないでしょうか。それは、グーグルとヤフーの提携が、米国の親会社同士が米国で認められなかったのに、何で日本ではシェア9割を占めるのに、あっさり認められたのか、ということです。関係した方々は、皆日本の法的な面は良く調べた上の結論でしょうが、私には以下の点が引っかかります。
グーグルの創始者であるラリー・ペイジとサーゲイ・プリンに関する本を読んだ事がありますが、彼らは検索事業を起こす前に「世界の全ての情報をコントロールしたい」という壮大な野心を持っていたはずです。それを読んだ時、私はギョットした覚えがあります。中国政府は既にそのことに気付いており、検閲強化でグーグルを排除しています。日本で両者が提携して9割のシェアを持つ必要が、何故あるのでしょうか。そのこと自体が、競争制限そのものとして働くはずです。両社とも日本での提携など必要なく、互いに競争してくれる事こそが、消費者利益に繋がるはずだと考えます。又、日本国内のウェブ上の情報の9割を1企業グループに牛耳られて良いのでしょうか。そのような事が日本人として恐くないのでしょうか。私は恐ろしく思います。
次に、独占禁止法に関してですが、独占企業は消費者にとって不利益かどうか、国際競争に勝つ為に必要かどうか、が過去の判断基準のようでした。しかし、もうひとつ大きな問題があります。あまりに巨大化した企業が、時代とともに経営困難になったとき、倒産の影響が大きすぎるといって政府が救済しなくてはならなくなるからです。米国のGMしかり、日本航空しかりです。企業というものは栄枯盛衰があり、人間と同じに永久なものではありません。企業が長く生きながらえる為には、時代の変化に対応して変わり身に優れていなければなりません。つまり、独占的な巨大企業は潰せなくなる害があります。
20年先か、100年先かは分かりませんが、グーグルとヤフーの提携会社がつぶれる時、日本の情報検索システムがなくなったら困るといって、政府が財政によって救済する時代が来るかもしれません。そんな事を避けるためには、今後も両者は競争していれば、一方がつぶれても、他方が生き残れるかもしれません。いわばリスク分散です。独禁法にはそのような役割もあるはずです。その例は、米国ではAT&Tの分割。日本ではNTTの分割です。民間事業の救済に政府が介在しなくてすむように予防する役割です。以上のような点に関して、経済外交面の専門家も、是非公正取引委員会にアドバイスしてあげて下さい。
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