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2010-08-24 00:00
広がりを欠く小沢多数派工作
杉浦 正章
政治評論家
今朝の新聞で一番面白い記事は、小沢側近の幹事長代理・細野豪志が党員・サポーターなど40人を集めた宮崎市内の会合で「小沢さんに出てもらいたい人は?」と聞くと、挙手がゼロだったという話。逆に、「菅さんは?」と聞くと、ほとんどが手を挙げたという。見出しに取っているわけではないが、読売と朝日が報じているから、渦中の人小沢一郎を含めた政界全体が読んでいるに違いない。こういう記事がボディブローのようにインパクトを持つのだ。小沢への党内支持は広がりを欠く現実を象徴している。これを単に宮崎県だけの現象と受け取ると、判断を間違う。筆者は、全国津々浦々に行き渡った共通の感情だと思う。現に各種世論調査でも約8割が「小沢不出馬」を求めている。事々左様に、世論と乖離(かいり)しているのが、旗振り役の山岡賢次ら小沢側近グループの動きだろう。
小沢自身は一言も「出る」とは言っていないのだから、心理的に小沢は旗振り役と世論との間で“またさきの刑”にあっている状況だろう。8月25日に自身の政治セミナーで行う講演内容が注目されるところだが、多数派工作は世論を背景にした首相・菅直人が有利に展開、小沢側は広がりがないように見える。というのも、まず小沢チルドレンだが、新人議員157人全員が小沢支持かというと、そうではない。いまのところ、衆参で菅支持は40人、小沢支持が45人とみる。残り70人前後が草刈り場となる。つまり、新人議員をめぐる争奪戦は、小沢の地盤を菅が蚕食している構図だ。加えて、冒頭挙げた35万人の党員・サポーター票の行方だが、これは世論に左右される要素が大きい。小沢は、立つ、立たない、は別にして、早くから先手を打ってグループの議員らに党員・サポーターの取り込みを指示しているようだが、「挙手ゼロ」のムードではいかんともしがたいところだろう。NHKの調査でも、何と民主党支持層の87%が菅続投支持だ。
加えて、選挙区に帰れば、新人だろうが、ベテランだろうが、「小沢アレルギー」の洗礼を多かれ少なかれ味わうことになる。民主党のグループは、自民党の派閥と違い、団結力は弱い。複数のグループに所属する議員もいるし、どのグループにも属さない議員も多い。要するに、浮動票が多いのだ。現に鳩山グループも、小沢支持と菅支持に割れている。小沢の数の論理が成り立ちにくい状況が出来つつあるのだ。同盟も、支持を鮮明にすれば、内部分裂を起こす。したがって、民社党系や社会党系も小沢に絞ることが出来るかどうか微妙だ。こうした中で、自ら手を挙げて前首相・鳩山由紀夫が、菅・小沢間の調整に乗り出す構えを見せている。鳩山は側近の中山義活が「菅降ろしは絶対に間違いだ。菅首相は、党が結束できる条件を出してもらいたい」と述べているように、条件闘争だ。
人事での小沢への配慮、政策面での鳩山政治の継承が、その条件だろう。民間テレビで「小沢、菅の両氏は2人とも強すぎる。そこでやさしい私が仲介に入る」と語り、前向きだ。条件によっては、小沢は降ろし、他の候補を立てて代表選の形態を整えるというのが落としどころだろう。小沢の置かれた立場を冷静に見れば、振り上げた拳の落としどころとしては、鳩山調整が妥当なところだろうが、問題は小沢が受けるかどうかだ。菅は首相就任早早に京セラ名誉会長・稲盛和夫を急きょ官邸に招いて、小沢との会談の斡旋を依頼したが、失敗に終わっている。小沢は意固地になっているのだ。菅が「小沢前幹事長のような人材が必要な場面もある。小沢氏の手腕は高く評価しており、その腕力を活用していきたい」と歯の浮くような誘い水を出しているが、小沢を懐柔できるかどうか。水面下の動きが注目されるところだ。
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