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2010-08-27 00:00
日本再生7カ年計画を立てよう
松井 啓
初代駐カザフスタン大使
日露戦争から115年、日清戦争から105年、韓国併合から100年、日本が戦争に敗北してから65年、日米安保条約改定から50年、冷戦構造崩壊から20年、また、米大統領が「核兵器のない世界」を目指すことを鮮明にし、「広島の日」式典に初めて自国大使を出席せしめた年、日本が経済大国2位の座を中国に譲る年、APEC首脳会議横浜開催の年など、今年は色々な意味で節目の年である。他方、民族主義や大国主義、新興国が勢いづき、近隣では中国の経済的台頭や軍備拡張、ロシアの大国主義が頭をもたげてきている。ロシアは9月2日(日本が連合国への降伏文書に署名した日)を「第二次世界大戦終結の日」記念日に指定した。
戦後65年を経て、日本全体が「構造疲労」「金属腐食」を起こしており、抱えている種々の問題が指摘されている。G7の名に恥じる財政赤字、少子高齢化、老人の姨捨山化、教育の時代不適応、青年の内向化、失業率の高止まり、浪費を作り出す経済システム、自然環境の悪化、弱肉強食の社会等々である。これらに対する対策も様々である。憲法改正(日本の国際社会でのあり方、天皇制、自衛、二院制の権限配分を含めた国会の在り方)、国際貢献の多角化、アジア太平洋地域の安全保障体制(非核ゾーン)の構築、財政再建、税制改革、消費税率増、福祉改善、教育改革(国際社会で活動できる人材の育成)、価格競争よりは品質・新奇性で勝負、日本主導の新製品や基準の創生、低生産部門の切り捨て、政官財学の共同・協力、優秀な人材が日本に集まるような制度の構築等々と続いている。
テレビ番組では「坂の上の雲」や「竜馬伝」の人気が高いのは、このままでは日本が取り残され、ガラパゴス化した極東の小さな島国となってしまう、という危機感の表れでもあろう。強い国家建設には「100年の計」が必要といわれている。しかしながら新設の「国家戦略室」からは多くのことは期待できないし、民主・自民の党派争い、各党内の派閥抗争に汲々とし、自己の利益と数か月先のことにしか目が届かない彼等から、将来の日本の長期的・大局的政策を期待することは無理のようである。
2018年は明治維新から150年の節目に当たる。今や明治維新に立ち返り、直面する諸問題に正面から立ち向かうべき時である。既に遅きに失していることは多くの人が感じている。それまでに財政赤字をゼロにして日本を再生させる「7カ年計画」を立てようではないか。国民一人一人が、党、派閥、社会的経済的立場、宗教などに関わりなく、国際社会での日本国家のあるべき立ち位置、日本国家の運営の仕方、日本社会の在り方や直面する諸問題に真正面から向き合い、喧々諤々の議論をする時である。その過程で「選人眼」を養い、長期的・大局的視野から強い指導力を発揮できる人物を選定していくしかないだろう。マスコミにも大いに期待したいところである。
最後に明治天皇の「5カ条の御誓文」を掲げておく。「広く会議を興し万機公論に決すべし、上下心を一にして経綸を行うべし、官武庶民に至る迄各其志を遂げ人心をして倦さらしめん事を要す、旧来の陋習を破り天地の公道に基くべし、智識を世界に求め大いに皇基を振起すべし」 (了)
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