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2010-09-19 00:00
(連載)ペトレイアス陸軍大将が語るアフガニスタンの行方(1)
河村 洋
NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
オバマ米大統領は、イラクでの戦闘任務の終結宣言にともなって、「アメリカはアフガニスタンに集中して対テロ作戦を展開してゆく」と述べた。そうした事情からデービッド・ペトレイアス大将の発言と、いくつかの論文を検証して、アフガン戦争の理解を深め、戦略を模索してゆきたい。
まず、この戦争の概観に触れたい。オバマ政権は、イラクと同様に、アフガンにおいても、現地の治安部隊に権限を委譲して、できるだけ早期に撤退したいと考えている。しかし、現地の元司令官デービッド・マッキナン陸軍大将と現司令官デービッド・ペトレイアス陸軍大将は、アフガニスタン治安部隊の訓練が予定より遅れているため、早期の権限委譲には反対している。アフガニスタンの軍と警察の能力向上を早めるために、多国籍軍は2009年12月に追加派兵を行なった。NATOアフガニスタン訓練部隊のウイリアム・B・カルドウェル陸軍中将は「我々の任務は、アフガニスタン側と協調して、この主権国家のために輝かしく希望に満ちた未来を築き上げることだ」と言った。
現在、アフガニスタンの治安部隊は陸軍、空軍、国家警察で編成されている。その中では陸軍が最も能力の優れた部隊である。アフガニスタン陸軍は2009年3月の8.3万人から現在の11.3万人に増員されたが、それでもジョセフ・リーバーマン上院議員が要求する兵員倍増には程遠い。また、アフガニスタン陸軍に対する自力でテロリストと戦えるだけの装備の供給は、遅々として進んでいない。あるアフガニスタン軍将官は「ソ連と戦った時の方が恵まれた装備だった」と語った。空軍は殆ど戦力が整っていないが、ペンタゴンはこの部隊にヘリコプターによる地上軍支援を行なう能力を持たせようと計画している。国家警察に関しては、プロ意識の欠如が問題である。アフガニスタン警察は一般市民への職権乱用、薬物濫用、同僚同士での撃ち合いをしている有様である。
現在、ペトレイアス大将は、イラクと同様の多国籍軍とアフガニスタン軍の協力関係の強化を推進している。アメリカとNATOの部隊は、アフガニスタン国防大学を通じて訓練プログラムを拡張している。政府官僚機構の改革も必要である。司法体制は、まだ法の支配を確立できず、国防省も民族や政治派閥で分断されている。(つづく)
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