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2010-09-21 00:00
自民石原伸晃は、小粒な口舌の徒か
杉浦 正章
政治評論家
首相・菅直人が内閣発足後最初に投げた変化球が、景気対策のための2010年度補正予算案の与野党事前調整だ。「野党の希望も入れた形で補正予算案を組めば、国会審議も順調にゆく」というのだ。補正にせよ、本予算案にせよ、まず政府案を作るのが政権与党最大の責務であるが、あえてこれを放棄してでも、野党と事前調整しようというのだから、画期的だ。これが成功すれば、秋の臨時国会のみならず、通常国会に向けても、前例を作ることになり、展望が開ける。しかし、ことはそう簡単ではない。自民党の財源案には「子ども手当執行停止」のトゲがあるのだ。
菅の発言に対して、自民党幹事長・石原伸晃は当初「抱きつかれてもいい」と柔軟姿勢を示していたが、内閣発足直後から急に方向を転換した。「一体首相は、自民党の補正予算案を読んでのことか、単なる思いつきか」と言いだしたのである。自民党案は、総額5兆円規模で、財源には2009年度決算剰余金、独立行政法人資産売却、建設国債発行に加えて、子ども手当の執行停止7000億円が含まれているのだ。石原は「子ども手当のように、経済波及効果の生じないものは、削って財源にすべきだ」と主張しているのだ。
この石原の主張は、民主党にとってはきつい。なぜなら、子ども手当はマニフェストの1丁目1番地であり、小沢一郎が満額実施を主張しており、代表選でも修正路線の菅とし烈な対立点となっている。これを削減すれば、党内抗争の火種を探している小沢グループに、格好の標的を与えることになるからだ。石原の強硬姿勢の背景には、野党が臨時国会で補正予算や「政治とカネ」で強行方針をとり続ければ、やがて民主党内の亀裂を拡大して、解散・総選挙に持ち込めるという判断がある。この結果、菅の変化球はなかなか通用しない状況ともいえる。自民党は国民生活よりも、政局意識に傾斜した対応であろう。
しかし、隘路がないわけではない。公明党幹部が菅提案に前向きな姿勢を示しているのだ。公明党の補正予算案は4兆円だが、自民党案に比べると、財源にトゲを含んでいない。公明党案の財源は、予備費9000億円、剰余金1.6兆円、建設国債1.5兆円であり、極めて常識的な線を維持している。民主党にしてみれば、何も自民党とだけ組むだけが国会対策ではない。おまけに、かって公明党は子ども手当法案に賛成している。したがって公明党案をかなり取り入れれば、逆に自民党を孤立に追いやることもできるのだ。法案早期成立のための議員数も、公明と組めば十分足りる。将来の民・公連立政権への布石にもなり得る。
自民党は「早期補正予算成立が景気の2番底回避に不可避」としているが、既に実施に移されてしまっている子ども手当の撤回にこだわって、社会的混乱を起こし、補正の実施を遅らせて何になるのだろうか。野党になって1年、かっての「何でも反対」の社会党化を目指しているようにも見える。「政治とカネ」など対峙(たいじ)すべきところは対峙すべきだが、政権政党に復帰したいのなら、まず国民生活第1主義でいくべきだ。石原は、予想以上に口舌の徒で、小粒なのかも知れないと思い始めた。
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