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2010-09-26 00:00
世界覇権の野望をもつ中国
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
今回の尖閣諸島問題は、中国という国を考えるにあたって、大変良い実例を提供してくれました。本題に移る前に、仙石官房長官の発言は、無責任ですね。「検察から相談を受けた。総理も外務大臣もいなかったので、オレが意見を言った。検察はその通りにした」と言うべきです。仙石官房長官はサラリーマンではないのだから、内閣という権力の一員であるのだから、逃げてはいけません。今後「オレが船長を釈放したのだぞ」と、中国に恩が売れたのですよ。沖縄検察の方に「外交的配慮」などと言ってもらうのはダメです。それはご自分で言うべきです。もうひとつ、日本は国内では毎年べらぼうな数の法律や規制を作って日本国民や日本企業を縛りながら、国境侵犯罪や密入国取締法などはありません。挙党一致で何か作ったらどうでしょう。今回のように意図的に国境侵犯したものは端から逮捕して、国外追放したらどうだろうか。公務執行妨害などで外交対処するのは無理があります。ロシアなどは、北方領土近辺の海域で日本漁船を拿捕すると、賠償金を払わない限り返してくれないではありませんか。
さて、本題に移ると、中国政府の最大の目的は、世界人口の4分の1を占める15億人の人々をどのように食べさせてゆくかに真剣で、理性や良識以前の問題になっているのだろうと推測しました。そのためには、海洋資源始め、世界中の食糧生産、資源などを全部コントロールすることを最終目的として、歴史的にはローマ帝国や大英帝国、最近では米国などを模範にして、世界の領土、食料、資源に覇権を持とうとしているのでは無いでしょうか。従って、尖閣諸島近辺に海洋資源があれば、当面何が何でも自国領土としたいということでしょう。また、他方で15億人の国民が、本気で反政府運動でも起こしたら、まず誰も抑えられないと思います。従って中国の党・政府にとって人権外交は最大の脅威でしょう。いくら「内政干渉だ」と言って、はねつけたとしても、国民が真実を知ったら、政府は国内で批判にさらされることになるからです。
これらのことを考えると、今回の尖閣諸島問題には恐ろしい背景がありそうです。日本は米国を頼っていますが、いつの日か米国が衰えた時、日本はどのような立ち位置をとるべきなのでしょうか。深刻な問題です。その点、小沢さんや鳩山元総理は「中国につけばよい」というかもしれません。しかし私はそうは思いません。過去の歴史上、列強の合間で木の葉のように翻弄された国は多数あります。日本はそのような国になってはなりません。ここで外交の重要性が出てきます。最近の本欄の皆様のご意見でも、「民主党政権は弱腰だ」とか、「中国に反抗しろ」だのといった意見もありますが、中国側のネット上の意見などは、逆に「日本に核爆弾を落としてやれ」といったものもあるそうです。つまり、外交には、理性的な言葉だけでなく、物凄く人間的な情念も絡みます。相手国の狂ったナショナリズムをどう受け止めるかという問題と直面します。
日本はどうするのか。それが最大のテーマです。まずは、世界の大多数の意見を味方にすることです。外交に人間的な要素があるとしたら、人間本来の正義感と、誰もが共鳴するような首尾一貫した論理性が必要だと思います。その意味で、日本政府はもっと世界に対して自己の立場や主張を発信すべきです。つぎに、日本は国際交流による経済の活発化を促進して、世界を支えるような経済活動の地球的ネットワークを構築すべきです。日本との経済交流を打ち切ったら、その国の経済が不利になるくらいの実績を展開すべきです。
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