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2010-09-28 00:00
菅は“政治介入”を認めて対中態勢を整えよ
杉浦 正章
政治評論家
ぼろぼろと首相・菅直人、官房長官・仙谷由人の“虚言”が崩れている。やがて検察への“政治介入”は立証される流れとなって来ている。問題は、10月1日の臨時国会冒頭での所信表明演説で、菅が政治介入を認めず、検察独自の判断を強調した場合、国家・国民への「まやかし発言」となり、臨時国会では身動きならぬ事態に遭遇することだ。この際菅は、政治介入を認めて、まず国内の“トゲ”を取り除かなければ、尖閣事件への対応を誤る危険性を秘めている。首相官邸は、マスコミの取材力を甘く見ている。いったん焦点が定まり、取材競争になった問題は、8割以上の確率で暴かれる。9月28日付朝刊でも、朝日新聞が菅の「介入」の事実をトップで報じている。菅が国連総会出席前に起訴回避を「もっと早くできないのか」と促す発言をしているのだ。「検察当局が総合的に考えた」と、菅が当局の責任に転嫁した発言との矛盾が鮮明化している。
毎日新聞は、民主党が27日開いた政調会合での外務省の新証言を報じている。外務省が中国人船長釈放決定前日の23日に首相官邸と協議した上で、担当課長を那覇地検に派遣したことを明らかにしたのだ。おそらく田舎検事に日中関係の重要さをインプットするためだろう。官邸・外務省の一定の関与の構図を物語る動かぬ証拠だ。野党ばかりか、与党内からも、公然と首相批判の声があがった。前防衛政務官・長島昭久ら43人が仙石に渡した「建白書」では、「政治的な意志決定なしに、行政機関たる検察が独断で判断した、と信じている国民はほとんどおらず、総理はじめ閣僚が『検察の判断』と繰り返すことは、却って責任転嫁との批判を免れない」と断定している。こうした中で、首相官邸や幹事長・岡田克也は依然「介入なし」で突っぱねられる、とまだ思っているのだろうか。国会は30日に菅も出席した衆院予算委集中審議で尖閣事件を取り上げるが、首相の所信表明演説は1日に行われる。
この過程で、菅が「検察独自の判断」を繰り返した場合は、答弁の齟齬(そご)が露呈して、「首相による深い虚言の泥沼」に陥ってゆくだろう。首相発言が何を言っても信用されない事態となるのだ。悪いことは言わない。これだけは避けた方がいい。それには今日28日にも、前言を撤回して、政治介入、場合によっては指揮権の発動を認めるしかない。それが一国の政治を預かるものの誠実さの証でもあるし、責務でもある。責任は菅、仙石、外相・前原誠司、法相・柳田稔にあるが、内閣を挙げての“虚言”に誰も責任を取らないでほおかむり、というわけにはいくまい。ここは仙石か、柳田あたりが、一身に責任をかぶって辞任するしかないのではないか。閣僚のクビで野党が治まるかどうかだが、ここはとりあえずトカゲのしっぽ切りの場面だろう。
自民党議員を中心とする超党派の「神道政治連盟国会議員懇談会」(会長・安倍晋三)は27日、国会内で緊急集会を開き、菅内閣の総辞職を求める声明を採択したが、虚言が続けば「政局」となることは目に見えている。野党にしてみれば、総辞職か、解散を勝ち取れれば、まさに政治的な圧勝である。中国から見れば、日本国内の混乱は“隣の不幸は、カモの味”だ。手を叩いて喜んでいるに違いない。最初に刺さったトゲを抜いて対中外交の態勢を建て直さない限り、足元を見られて、つけ入れられるのは確実だ。尖閣諸島海域は不測の事態がいつ起きてもおかしくない状況だ。ことは急を要する。“内乱”を治めて“蒙古襲来”に対処するときだ。
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