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2010-09-29 00:00
政府の対中外交に欠けている中長期的発想
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
私は、政治を論じる場合に、外交というものがきわめて重要であると思い、本欄によく投稿しています。かつての自民党政権は、決して全否定すべきではありませんが、一部の人々のメリットのみの政治を行い、短期の景気対策と称して莫大な財政赤字を作り続けたことに、国民が嫌気をさして、民主党に政権交代させたと理解しています。民主党政権は、もっと自信を持って、中長期的な政策運営をして下さい。景気対策などは半年、1年の問題、税制などは5年、10年の問題、年金対策などは30~40年の問題、政治体制や社会構造の問題は50~100年の問題、そして領土問題は1000年、2000年の問題です。
今回、中国が尖閣諸島問題を吹っかけてきたのも、1000年、2000年の問題として考える必要があります。何故そんな事をいうかというと、民主党は、目先の国内野党対策があるだけで、中長期の政治的見通しが足りない気がするからです。米国しか見ていなかったといえる自民党と違って、民主党に期待するのは、全世界の長期外交展望や世界観をもった上で、日米関係を充実させれば、アメリカも日本を見直すでしょう。デカイ事を言って申し訳ありませんが、菅総理や仙石官房長官が「責任回避」「問題先送り」「事なかれ主義」に走り、まるでサラリーマン社会で会社をダメにする「何も専務」のようになってしまったら、せっかく政権をとったのに、もったいないではありませんか。
何しろ15億人の人口を抱える中国との外交は、半端ではないと思います。彼らはいきなり日本を占領して、更に1億人を抱えようとは考えないでしょうが、日本からは海洋資源と経済的無形資産を取り上げるつもりではいるかもしれません。何しろ社会主義とは即物的ですから。菅総理は、最近の演説で「世界を最小不幸社会に」とおっしゃって、経済援助をコミットされたようですね。これもあまりに発想がネガティブです。どんなに貧しくても世界の人々で、自分が不幸だと思っている人はそんなに多くはないと思います。たとえ貧しくても、ほとんどの人は、人間としての尊厳を忘れてはいません。あまりに簡単に世界に向かってきれいごとを言うのは無責任です。その言葉は、日本国内だけの政治発言にしておけばよかったのに、とハラハラしました。
強い心で、責任を果たす気持ちで、進めてみてください。場当たり的な話し合いや議論をしても、相手が妥協しない限り、成果は上がりません。まして中国は「領土を諦める」とは絶対に言わないでしょう。相手よりも座標軸を挙げて、世界観、中長期の発想といった形で「次元が高い」と感じさせない限り、相手を説得できないでしょう。それには「良い」と思うことを、まっしぐらに進め、国民は政府を頼もしく思い、世界の賛同を得る方向でしか、やりようがないと思います。
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