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2010-10-17 00:00
ノーベル賞委員会のあり方に教えられる
吉田 重信
中国研究家
劉暁波のノーベル平和賞受賞のニュースを聞いたときに、まず第一に思ったことは、この受賞が今後中国社会へボディー・ブローのように、また漢方薬のように、ジワジワと効いてくるであろうと思われる衝撃のことではなかった。第一に思ったことは、小国の典型のようなノールウエーの一民間委員会が発する、国際的な影響力の大きさであった。
一説によれば、この委員会は、ヨーロッパにおける「左翼リベラリズム」のひとつの牙城との見方もあるが、その委員長たるヤーブラン元ノールウエー首相の発言には、万金の重みがある。曰く「中国は、(この受賞によって)ますます世界に監視される責任を感じるだろう。われわれは、かつてアメリカに対し平和賞を授賞したことにより、アメリカを変えた。しかし、そのことにより、アメリカ政府と委員会との友好関係はなんら損なわれなかった」と。
小国の民間機関のひとつとしてのノーベル平和賞委員会は、極めて高度の政治的判断を果敢に実行することによって、世界をも動かそうとしているようにみえる。その確固たる意志の奥底に、小国のしたたかな、生存のための知恵を見る思いがする。
中国政府は、今回の授賞について「中国における犯罪者を表彰するのは、内政干渉である」と委員会を非難したが、これは「語るに落ちた」発言であろう。なぜ「ノーベル委員会の考えには、同意できないが、ともかく中国に住む国民に初めてノーベル賞が与えられたことは、ありがたい」とでも、本来の中国人のおおらかさを示せなかったのであろうか。まことに残念である。中国指導者の余裕のなさばかりが際立った。ノーベル賞委員会のあり方は、「平和主義」を掲げて生きる日本の今後のあり方にも示唆を与えているように思える。
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