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2010-11-01 00:00
対中・対ロ外交では、相手に高くつくことを思い知らせよ
河東 哲夫
元外交官
メドベジェフ大統領が国後に飛んだと言って、マスコミは大騒ぎしているが、相手が占領しているところへ「行くな」という方が無理で、言い募れば言い募るほど「じゃ、行かない。その代わり日本は何をくれるんだ」と言われて、交渉の掛け金をいよいよ高くされるだけだ。こういうものは、下手に騒ぎたてることなく、その代わり相手に高くつくことを静かにやって、思い知らせるのが一番効果的。たとえば、ロシアが切望しているアジア開発銀行への加盟について、その資格を思い切り問題にするとか、WTOへの加盟について自動車の国内生産保護措置を問題にして、横棒を入れるとか。
心配するのは、中国の国内で「うちの指導者は何をしている。尖閣(とは言わずに彼らは「釣魚」と言うが)にメドベジェフ大統領のように上陸して見せろ」という声が高まること。そうなれば、戦争のリスクが出てくる。日本は敗戦国なのだから、ハンディがものすごくついている。しかし、やろうと思えば、日本にもできることはいっぱいあるのだ。
中国、ロシアだけを相手にして問題を解決しようとするから、難しいのだ。たとえば、「もう中国だけに投資を集中するのはやめよう。ASEAN、インド、アフリカにも投資して、これらの国の国民たちの生活向上を助けるのはもちろん、他ならぬアメリカにも投資を増やそう」と、全世界に呼び掛ければいいではないか。
そして中国は、周囲が国境問題、領土問題だらけである。そこを突けばよい。ウラジオストックがあるロシアの沿海地方も、1860年の北京条約までは清の領土だったのだ。中国人は、どうして「沿海地方を返せ」とロシアに言わないのだろう。どうしてシベリアの資源に金を払うのか? まだロシアが怖いのだろうか? そして中央アジアではキルギス、タジキスタンとも、中国との国境については、いろいろ言いたいことがあるだろう。そこを突けばよいのである。
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