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2010-11-05 00:00
ロシアに対し、経済関係断絶をも含む強硬な姿勢を示せ
吉田 重信
中国研究家
最近のメドベージェフ・ロシア大統領の国後島訪問の意味合いと日本の対応策について、一言述べたい。今回のロシア大統領の動きは、普天間基地問題をめぐる日米間の足並みの乱れと尖閣列島問題をめぐる日中間のあつれきという状況をみて、その隙をつく狙いがあったものと考える。また、ソ連崩壊以来余裕がなくなっていたロシアの対アジア太平洋地域政策の再構築を狙う意図もあるだろう。そのため、ロシアは、9月28日、北京で中国との「第二次世界大戦終結65周年共同声明」を出し、そのことによって、あたかもかつての「ヤルタ体制」の下の中ソであるかのごとく、「対日共同戦線」の再結成を演出したととれなくはない。
これまでアジア太平洋情勢は、主として、米、中、日の三国の動きによって、形作られてきたが、久びさにロシアがそこに参入してきた感もある。このような新しい情勢に対し、日本はいかに対応すべきであろうか?まず第一には、ロシアに対し、経済関係断絶をも含む強硬な姿勢を示すことであろう。これによって、ロシアに対して、今回の国後島訪問の対価の大きさを知らしめるのである。また、同時に、中国に対しても、日本がロシアに対すると同じ程度の強硬な措置をとる可能性があることを知らしめ、中国をけん制することができる。
第二に、中国との関係をなるべく可及的速やかに修復することだ。つまり、ロシアに日中関係悪化の事態をこれ以上は利用させないことが肝心だ。また、日本は、戦略的な外交によって、将来中ロ間を離反させるように努める必要がある。現在の「中ロ提携」の動きは、表面的な装いだけであり、両国間に長年存在する「相互不信の構造」は容易に解消できるほど浅いものではない。とりわけ、目下中国が進めている、ユーラシア大陸を東西に横断して、イスラム民族地帯や東欧、次いで西欧地域を経て大西洋に至る物流経路の開発計画は、ロシアの利害に直結する公算が高いことを考えれば、中ロ関係は再び悪化するとみてよいであろう。
第三に、日本は、ロシアの意図をも射程に入れて、米国をはじめとする友好国との連携関係を強化することによって、ロシアの対アジア・太平洋地域への進出の動きを阻止するのである。ロシアが、ソ連の崩壊後、かつての「ロシア帝政」を想起させるような動きをしていることを忘れてはならない
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