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2010-11-17 00:00
総じてビデオ流出事件の理解度が問われる
杉浦 正章
政治評論家
吉田重信氏のいささか執拗な異論の展開だが、紳士的な掲示板に不適切な誹謗もあり、降り来る火の粉は払わねばならぬから、反論する。今回、警視庁と東京地検が、保安官を国家公務員法違反容疑での逮捕を見送ったのは、視野に「不起訴」があるからに他ならない。「逮捕せず」は政治的な意味合いが極めて濃厚な判断であり、吉田氏のいうような「日常的な行為」ではない。長年官僚を務めるとマスコミ的なセンセーショナリズムを批判する習癖がつき勝ちだが、問題の在りかをよく理解すべきだ。
吉田氏は「捜査当局は、保安官の行為が守秘義務違反であるという見方は変えていないとされる」と記述しているが、筆者は「捜査当局は、国家公務員法の守秘義務違反での逮捕を見送った」と聞いている。その意味するところは「正式な起訴はしない」の一点に絞られている。方向としては在宅起訴、略式起訴で罰金刑、起訴猶予が考えられるが、最終的には略式起訴か、起訴猶予がいいところだろう。要するに正式な裁判にかけない方向なのだ。これが法律のプロの見方である。
吉田氏は「某保安官の行為が、国家公務員法の守秘義務に違反するものであるか否かを論じることこそが、国家にとって死活的重要性をもつと考える」としているが、真の焦点は、国家公務員法100条の守秘義務に違反するかどうかだ。最高裁は1977年の判決で「国家公務員法にいう秘密とは、非公知の事実であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいう」との判断を下している。形式秘でなく、実質秘であることが求められている。今回の場合、海保内部でビデオ映像が出回りすぎていて、立証困難と判断しての逮捕見送りである。実質秘が成り立たないのだ。したがって国会公務員法違反ではないとして、「罪とならず」の判断か、「不起訴処分」の判断となる可能性が強い。
総じて吉田氏は、事件の本質を読んでいない。公開すべきビデオを公開しない政府こそが糾弾されるべきなのであり、そこに事件の本質があるのに、そのことに気付かない。お好きな中国の「船長」を釈放して、お嫌いな保安官は「正式起訴」すれば、それでいいのか。捜査当局の判断が「逮捕せず」に行き着かざるを得なかった理由を、見てほしい。「『逮捕せず』で形無しの仙石強硬論」の判断は、政治のプロとして筆者の判断である。吉田氏の口癖を借りれば、素人が言いがかりをつけるものではあるまい。
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