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2010-12-01 00:00
日本もTPP(環太平洋パートナーシップ)に参加せよ
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
日本のTPP参加に関して、民主党、自民党共に、党内で賛否様々な論議がなされているが、本質的且つ原則的な議論になっていないような気がするので、一言いわせてください。日本の農業系政治団体は強く反対しているそうですが、FTA、はたまたTPPに参加しなければ、それで日本の農業は本当に再生できるのでしょうか。私は、議論のすり替えであって、日本農業の再生のために関税による保護政策が最善だとは思いません。むしろ両者は、無関係だと思います。もちろん彼らの狙いは、農家の戸別保障などの農業補助金を求めているのだとは思いますが、そもそもFTAやTPPに加入しなければ日本の農業は自生、再生できるのですか? かつてウルグアイ・ラウンドのときに、莫大な補助金を得たにもかかわらず、未だ日本農業は再生されてはいません。ゴネ得をねらった補助金獲得の交渉材料などにしてほしくありません。農業問題は日本政府の国内農業政策の問題であって、鎖国化や貿易障壁化をすれば全てが解決するわけではありません。
韓国が米国やEUとFTAを締結して、日本が遅れを取った。韓国に負けないためにFTAやTPPが必要だという議論も、あまりに視野が狭すぎませんか。どこかの国との競争のためやら、米国や中国が入るならわが国も、といった議論はおかしいと思います。非論理的であり、世界観もない発想です。TPPの本来の意味は、取った、取られたといった領土問題のようなゼロ・サムゲーム的偏狭な国益主義ではなく、各国が共通の制度を採用して、共同して経済発展を図ろうとする、山分け精神で生活向上を図ろうとすることではありませんか。
TPPは、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国から始まった、まさに環太平洋の国々が文化的、人種的、自然環境的な違いを超え、「環太平洋」という地勢的な共通点からスタートして、経済の垣根を無くそうとする壮大な考え方であり、まさに英断ではありませんか。残念ながら日本からは出てこなかった発想です。しかし、良いものは賛同して推進するのが当たり前ではないでしょうか。参加国全ての人々の活躍するフィールドが広がると考えるのが正しいと思います。国内議論を外に発信して、世界の足手まといの日本にはなりたくありません。
世界各国は皆独自性を持ち、お互いに異質です。しかし、TPPは、農産物や工業製品のハード面の交易から、人の移動や文化の交流などのソフト面の交流につなげ、世界各国がコミュニケーションを深める最適手段に発展させるべきと考えます。第二次世界大戦後の冷戦のなかで、NATOという軍事同盟と一体で発展してきたヨーロッパ連合(EU)よりも、動機が純粋であり、国際親善、国際平和を目指す日本外交にとっては、国際的相互関係を一層密にして、国際関係の世界標準になるまで中身を高めうる最良テーマだと考えます。各国それぞれ餅屋餅屋の役割分担から、各国の比較優位を最大限生かしたインターナショナルなシステムに発展させたいものです。
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