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2010-12-03 00:00
改造しても政権浮揚はないだろう
杉浦 正章
政治評論家
内閣改造説が永田町を徘徊している。官房長官・仙谷由人と国交相・馬淵澄夫への問責決議対策が改造の理由だ。首相・菅直人が決断するかどうかが焦点となっている。支持率が危険水域に入っている状態を、菅としては何としても脱して、政権の末期症状から離脱したいところだろう。しかし断言しておくが、改造しても政権は浮揚しない。民主党政権自体の欺瞞(ぎまん)性と、事に当たっての稚拙さが問われているからだ。改造はやっても、当面糊塗の小細工に過ぎない。民主党幹事長・岡田克也も、参院議員会長・輿石東も口をそろえるように、12月2日「改造は首相の判断」と述べている。両者とも否定しないのは、「あり得る」と見ているからだ。なぜなら、表向き菅が「罷免せず」を言っても、結局代えざるを得ないという判断が常識だからだ。
いくら問責決議に法的拘束力がないと言っても、過去の3例はすべて降板につながっており、野党が通常国会冒頭から仙谷・馬淵を見逃すとは思えない。現に自民党総裁・谷垣禎一も更迭がない場合には通常国会冒頭から審議拒否に出ることを明言、これに公明党も同調しそうな流れだからだ。冒頭から審議拒否となれば、内閣は追い詰められて、揚げ句の果ては解散か、首相辞任か、という事態も想定される。自民党内各派から2日、通常国会冒頭での解散説が一斉に出回ったのも、そういう判断がある。元首相・麻生太郎が「ある日突然、ということが十分にあり得る」と述べれば、元幹事長・伊吹文明も「解散があるとすれば、2月だろう」と語ったという。追い詰められた菅が、政権の自殺行為である解散を回避するには、問責閣僚の罷免か、改造で、当面を糊塗するしかないのである。
仙谷の場合、属人的な問題も大きい。若い記者らは内閣の主柱であるように錯覚をしているが、逆だ。内閣最大のブレーキとなっているのだ。というのも、スポークスマンとしての発言が問題をことごとく増幅させてしまっているからだ。官房長官は本来政権の守りの主軸である。追及されれば問題を出来るだけ矮小化させて、打ち消すのが役目なのに、火に油を注ぐような発言を繰り返す。当然野党の集中砲火を浴びることになり、菅にとってはひいきの引き倒しになる。通常国会は仙谷官房長官1人いれば、野党は事足りるのだ。攻撃対象に困らず、政権をとことん追い込める。したがって菅にとっては、仙谷官房長官で通常国会を乗りきることは不可能に近い。
しかし改造は、政権に隙を生じさせるケースが多い。小沢一郎が虎視眈々と狙っているのも、改造の動きだ。田中真紀子が「内閣を大改造すべきだ。小沢元代表ほど政界での経験が豊富な人はおらず、有効に活用すべきだ。それができないなら総辞職だろう」と、小沢の意向を反映したようなドスの利いた脅しをかけている。小沢が沈む泥舟に乗るかどうかは別として、改造となれば小沢の処遇が問題となり、小沢を入閣させれば、現在20%台の危険水域にある支持率が、竹下内閣の記録4.4%にまで落ち込みかねない。またささやかれているように、仙谷と幹事長・岡田克也を入れかえても辛気くさいだけで、急に人気が沸くこともないだろう。前原誠司を官房長官に横滑りさせても、仙谷ほどではないが、舌禍が心配だ。いずれにせよ菅は追い込まれた。進むも地獄、引くも地獄の情況である。
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