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2010-12-09 00:00
(連載)菅首相は内閣改造に踏み切れ(2)
角田 勝彦
団体役員
しかしマックス・ウェーバーが説くように、「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、堅い板にじわっじわっと穴をくり抜いていく作業」である。菅内閣に早急な衆院解散・総選挙を要求する世論は過半数に達していない(上記世論調査では40%、他方「急ぐ必要はない」が53%)。公明党も慎重な考えを示している。もちろん菅内閣・民主党は、自殺に等しい解散に否定的である。また菅首相は、民主党の一部(小沢グループ)にある首相交代論(総辞職)には、「支持率1%になっても辞めない」と述べたそうである。小沢氏は、12月7日夜、12日の茨城県議選が菅政権の行方を左右すると揺さぶりをかけた上で、中堅・若手議員に決起を促した由であるが、自身が強制起訴されることもあり、倒閣の力はない。菅首相側も「政治とカネ」問題に関する国民の不満が高いことにも鑑み、小沢氏の国会招致問題に関し、早ければ週内にも緊急役員会を招集し、一定の結論を出す方向で調整に入った。反撃といえよう。
さて11月26日に、〈1〉雇用・人材育成〈2〉新成長戦略の推進・加速を柱とする、円高・デフレ対策を盛り込んだ総額4兆8513億円の補正予算及び関連の改正地方交付税法が成立したが、上記世論調査の「菅内閣は今の経済情勢に適切に対応しているか」との設問に対して、「そうは思わない」が83%に達している。菅首相は、12月6日、2011年度予算編成に向け、「社民党、国民新党との関係をより緊密かつ戦略的にとらえて協働していく」と語ったが、今後予算編成、税制改革などで指導力が問われる難問に直面するのは必定である。財政の危機的状況や社会保障政策の問題を放置し続けるわけにも行くまい。国会の運営を円滑にすることが急務である。そのためには、26日に問責決議が可決された仙谷官房長官と馬淵国土交通相の交代を検討する必要があろう。仙谷官房長官の処遇について菅首相は、12月6日「期待した以上の仕事をしっかりしていただいてきた」と述べ、続投させる意向を表明しているが、上記世論調査でも「辞任すべき」は45%に達している。
また最近の報道(12月6日付毎日電子版)によると、尖閣衝突事件の中国人船長の釈放は官邸が強調した「検察判断」でなく、周到に仕組まれた政治判断だったことが、複数の関係者の証言から次第に明らかになってきている。これまでは、9月24日午後0時半に官邸で柳田稔法相(当時)と協議中の仙谷官房長官に検察の釈放判断が伝えられたことになっていたが、実はそれより前、9月24日午前、仙谷官房長官は在日中国大使館の孔鉉佑公使に「今日、釈放されます」と電話で通報していた。このため25日未明に処分保留で釈放された船長を中国政府がチャーター機で石垣空港に出迎えるという素早い対応が、可能になった由である。
もし、この報道が真実であれば、菅内閣の従来の答弁は国民及び国会をあざむいたものと言わざるを得ない。問責決議の関連からも、来年の通常国会をあるていど円滑に運営し、とくに順調な予算成立を図る上でも、菅首相は内閣改造を決断することが求められる。(おわり)
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