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2010-12-13 00:00
与野党は消費税・財政再建のため「大連立」を組め
杉浦正章
政治評論家
大連立の二発目の打揚花火は、どうも雲の中に入って光っているようで、ぱっとしない。自民党内からは反対論のみが出て、積極支持はない。現に総裁・谷垣禎一も普段の優柔不断にしては珍しく、読売新聞グループ本社会長・渡辺恒雄の提案を即座に断ったようだ。しかし反対論は、党利党略だけを論拠にしたものや、「小沢救出のため」などと曲解したものが多く、憂国の老言論人の真意を推し量ろうとしない。真意は、財政再建にあるのだ。政治家が小粒になって、大局を見る言論人がいても、それに呼応する政治家がいない。確かに渡辺の行動は、先に指摘したように、いささかタイミング的にピントがずれているように思えるし、不可解でもある。
自民党が菅政権追い込みに成功し、内閣支持率は25%(読売)とまさに危険水域にある。注目の茨城県議選も惨敗の憂き目をみた。自民党にしてみれば、あと一押しで政権奪回も夢ではない。12月8日の渡辺提案の後9日朝に、幹部が秘密裏に会合し、大連立拒否を確認したといわれるのも無理はない。民主党側も、小沢問題で党分裂の危機に瀕している。両党とも自分のことで精一杯で、大連立どころではない。そこから永田町には渡辺の動きを「小沢救出劇だ」と見る見方も出て来ているのだ。自民党政調会長・石破茂が「小沢氏をも含む連立など、政治手法も、政策も、全く異なる単なる野合でしかなく、論外だ」と述べれば、元首相・森喜朗も「渡辺さんが小沢さんから頼まれた、とは思いたくない」と述べていて、疑わしげだ。しかし読売筋によると、渡辺は「とっくに小沢を見限っている」とのことである。それもそうだろう天下の大読売の論調を左右する主筆が、疑惑の焦点の政治家を支持するはずもないのだ。
それでは渡辺の狙いはどこにあるのだろうか。まず挙げられるのが、国難とも言える財政事情だ。このまま与野党が激突のコースを走っていては、それこそ日本がギリシャになる運命が待っている。ここの判断は、消費税の早期導入しかなく、党利党略を離れて休戦し、消費税導入で救国連立内閣を一時的にでも作ろう、という構想に違いない。その場合小沢的なダーティー部分を排除した、「きれいな同志だけでの連合」が渡辺の脳裏にあるようだ。小沢グループを除いた連立だ。旗印は、例えば武村正義がテレビで「自民党が財政健全化責任法を、再度通常国会に提案するようだが、民主党はこれを丸呑みしたらいい。政界再編、連立にもつながる」と述べているが、消費税だ。こうした空気を盛り上げれば、一時的な大連立も夢ではない。たちあがれ日本の共同代表・与謝野馨も先月の菅との会談で、「国会が政治休戦をして必要な社会保障、年金医療改革、財政再建とか、消費税を含めた税制改革を、きちんときめないとだめだ」と「大連立」の話をしたようだ。
小選挙区制は、日本の政治を国民にこびを売る政治に変えた。菅は消費税で、もう少し骨があると思ったが、尻すぼみに終わった。自民党が政権を奪回したらしたで、野党になった民主党が消費増税反対で動きかねない。因果は巡る火の車で、消費増税ではまさに“亡国の堂々めぐり”が展開されることになる。ここは超党派での解決が必要だ、と渡辺が考えて、やはり財政再建論者の与謝野をして菅に働きかけさせた可能性が大きい。「大政翼賛会」という批判があるが、度し難い財政難からみれば、一時的な政策上の「大政翼賛会」も悪いことではない。森の分析によると、今回の渡辺の連立の動きは「中曽根さんと渡辺さんが考え、与謝野さんが動いた筋書き」だという。党内的反発から自らの関与を否定しているが、これも怪しい。いずれにせよ、大連立であれ、政策上の部分連合であれ、与野党は老いたる言論人のやむにやまれぬ憂国の提案を真摯に受け止め、消費税増税を軸とした財政再建連立へ隊伍を組むべきであろう。
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