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2010-12-15 00:00
日本の指導者に求められる3つの資質
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
菅首相についてだけ、言うわけではありません。今も、昔も、日本の国家指導者には、国家を率いて立つ資質が足りないことが痛感されます。「戦争に負けたのだから」、「軍事力がないから」、「語学が苦手だから」、「島国根性があるから」といったやや自虐的な諸説の言い訳はよく聞きますが、それらは言い訳になりません。まず、日本の総理大臣や外務大臣クラスの方は、各国政府首脳とのコミュニケーション能力をもう少し身に着けてください。会話や語学力だけではなく、もてなし、雑談から、情報交換、ディベート、ネゴシエーションまで、局面に応じた知識、教養、理解力、洞察力、機転、冗談やウィットなどを通じて、相手とコミュニケートする能力です。これなしにはどこの国の首脳とも友人になることはできないでしょう。
次に、世界各国の文化や社会の状況、歴史的経緯と背景、地政学的特徴、民族的特徴、時の政府の成り立ちなど、いわゆるジオグラフィー的な基礎知識を十分に持ってください。世界を知らないと日本の位置づけもつかめず、進むべき方向も誤ります。世界を外部から与えられる与件と考え、その境遇を耐え、忍ぶだけでなく、世界全体の流れを理解して、そのあるべきスタンダードやルールの形成、構築に日本が主体的にかかわってゆくべきです。そのためには、いつも日本は、世界のために何をするかを考えていなければなりません。事あるごとに「黒船だ」と騒いだり、「予期せぬこと」と驚くのでは、駄目です。
最後に、掲げる政策や施策はロジカルに他者に説明する訓練をしてください。特に外交では、相手はそれぞれ異文化であり、異質なのですから、気分的、情緒的に気持ちをいくら伝えても、なかなか相手には通じるものではありません。ロジカルに説明しなければ、外国人は絶対に理解してはくれません。ロジカルでないと、外交交渉もできないでしょう。それが、言うべきことも言わず、「言わなくてもわかるだろう」では、通用するはずがありません。とくに、ロシア、中国、ましてや北朝鮮などが相手の場合には、そのことが重要です。こちらのロジックをしっかり伝えないと、世界を動かすことはできません。
実をいうと、コミュニケーション能力、ナショナル・ジオグラフィー的な教養知識、ロジカル・シンキングといったものは、日本の教育課題でもあると思っています。科学技術で世界の先端に立ち、日本の若者がどんどん世界に出て活躍し、様々な面で世界の平和と発展に役立つようになれば、日本の未来も楽観的です。その意味で、世界の平和や親善を維持・発展させるためのルールやスタンダードづくりを、日本人がリードしてゆきたいものです。そのために必要であると思われる3つの資質を提案しました。
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