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2011-01-17 00:00
米国の戦略課題と日本のあるべき対応
水口 章
敬愛大学国際学部教授
1月13日、来日中のエリオット・コーエン博士(ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際研究大学院教授、元ライス国務長官の上級顧問)が、「アメリカにとっての戦略的選択肢」というテーマで講演を行った。博士は、今日の国際社会において米国の戦略課題は、(1)中国の台頭、(2)現在の国際社会の秩序を否定する国(北朝鮮、イラン、ベネズエラなど)の存在、(3)国際テロリスト集団(アルカイダ)との戦い、の3つであると指摘した。そして、米国は、(1)政治的安定性と自己刷新能力、(2)軍事力、(3)経済力、(4)恵まれた同盟関係、(5)移民の流入による活力などを有しており、これらの戦略課題を解決する力がある、と自信を示した。
博士の話の中で印象的であったのは、北朝鮮も、イランも、核兵器を保有することに価値を見出しており、決して開発を放棄しないだろう、と述べたことだ。この前提に立つと、「イランの核の脅威」を身近かに感じているGCC諸国の中から、核軍備体制の構築を試みる国が出てくる蓋然性は高くなる。こうした核拡散を防ぐ方法の1つとして、北朝鮮やイランの国内外で反政府活動が活発になることが期待されている。
このイランについて、対岸のドバイから見ると、国連の経済制裁(4度目)の効果が出てきていると言えそうだ。その背景の1つに、ドバイの経済バブルが弾けたことがあるらしい。ドバイは歴史的にイランとの結びつきが強く、多数のイラン人が経済活動を行っていることで知られている。しかし、ドバイ経済が落ち込んだことで、およそ20万のイラン人がドバイを離れたと言われている(しかし、現在でもなお約40万人が残っているとみられている)。さらに、ドバイは経済再建のために、イランと領土問題で対立状況にあるアブダビから財政支援を受けたことも関係している。しかし、主要な要因は、1月10日からクリントン米国務長官がUAE、オマーン、カタールを歴訪し、対イラン経済制裁への協力を要請していることからもわかるように、米国がイランに対する姿勢を明確にしはじめたことだと言える。
米国がこのように政策を変化させているのは、北朝鮮とイランの軍事協力関係が進み、今後5年以内に両国がミサイル技術を向上させ、核弾頭を小型化させることで、米国への脅威がさらに高まると見ているからだろう。米国の同盟国である日本の外交政策は、こうした米国の危機感を共有した上で、決定すべきだろう。それは、日本の北東アジア地域における安全保障の確保の観点からも必要なことだと言える。
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