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2011-01-21 00:00
菅総理は、なぜ中国の人権問題を指摘しないのか?
宮崎 厚
ベンチャー企業顧問
2010年の中国のGDPが、対前年比10.3%増で、世界第2位の経済大国になったとの報道と、胡錦濤主席が米国を公式訪問して、オバマ大統領らから歓迎されているとの報道が、同時に飛び込んできました。この機会に、わが国として中国をどう評価し、どう付き合うべきかについて、一言所感を投稿したいと思います。
胡錦濤主席は「すでに基軸通貨の時代は終わった」と述べて、人民元の切り上げ圧力に抵抗しています。日本がかつてプラザ合意で急激な円高を容認させられた轍を踏まないことを、中国政府は考えているのでしょう。中国は、国内ではまだまだ所得格差がひどいそうですが、共産主義国であるにもかかわらず、所得再配分政策などはあまり聞かれません。むしろ経済発展の恩恵が貧困層にも行き渡るよう、インフレに細心の注意を払いつつ、経済の底上げ、国民生活の底上げ政策をとっている様子です。しかし、日本は、負担よりも給付を求める選挙民の総意によって、まずは国家財政を大赤字にしたので、これからは企業や平均以上の所得者に課税や負担を強制することになるでしょう。こういう状況では、今の所、国内経済対策に関しては、日本政府よりも中国政府のほうが上を行っていると、彼らを評価せざるを得ません。
しかし、米国は、中国国民向けと思われる盛大な歓迎振りを見せつける一方で、人権問題については明確な指摘をしています。ノーベル平和賞受賞者である劉氏の解放まで求めています。日本政府は、中国政府の意向を気にして、ノーベル賞授与式への参加すら躊躇したのにです。これまで市民運動で名を馳せてきた菅総理が、なぜ中国の人権問題を指摘しないのか、理解できません。不思議な気がしています。
中国が平和で安定した経済大国になることは、日本にとってはメリットであり、大変喜ばしいことで、称賛してよいと思います。しかし、日本は、尖閣諸島の問題と軍事力の増強については、中国の政策を受け入れることはできません。中国共産党は、国民に思想的自由を与えては、国家統治に自信がないのでしょう。彼らの人権政策を変えさせるのは難しいとは思いますが、人権問題こそが反論出来ないかれらのアキレス腱であり、そこを突くのが、かれらとの外交の絶好の交渉材料だと考えます。普遍的な正義感の問題からも、世界中どこでも人権蹂躙は絶対に放っておくわけにはいかないからです。
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