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2011-01-23 00:00
(連載)政策の主軸を1人当たりGDP増に移せ(2)
河東 哲夫
元外交官
だから、こども手当などと言って広く薄くばらまく(選挙対策だとしか思えない)よりは、保育園の待ちを解消したほうが少子化対策にもなるし、成長促進政策にもなるということだ。保育園待ちがあるなどというのは、先進国とは言えない。本当に信じられないことなのだが、誰も真剣にやろうとしない。「女は家で・・・」という偏見が、民主党や社民党の政治家にもあるのだろう。
次に、外国人労働者だが、厚生労働省の推計だと、不法滞在者も含めて1990年には26万人しかいなかったのが、2006年には92万人に達している。帰化する外国人の数は、毎年1万人から2万人の間で推移しているから、これはあまり多くない。つまり、ただ単純に数のうえで言うならば、日本は労働年齢人口がかなり減少しても、やっていけるということだ。そして冒頭に言ったように、日本の企業が海外に出ていくということは、労働力を輸入しているのと、ほぼ同じことだ。
海外直接投資から日本に配当とか利益送金とかいう形で返ってきた分を示す所得収支は、2007年、実に1632億ドル(約15兆円)で、GDPの約3%、つまり労働力で言えば約190万人が働いて、生みだす富に相当する。「海外投資は、日本での雇用が減ることを意味するから、けしからん」という面もあるのだが、日本で労働年齢人口が減るのだったら、日本の企業が外国で生産して、利益の一部を日本に送金してくれるのだったら、助かるではないか。
まとめて言えば、つまり、労働年齢人口が減るからと言って、パニックになる必要はない、ということである。人口が減るのであれば、無理にGDPの総額を維持する必要はない。ただ老年人口をも養っていけるだけのGDPは維持する必要がある。その規模は計算ができるだろう。望ましい一人当たりGDPを成年人口にかければいいのだ。つまりGDPの総額を政策の主軸に据える時代はもう終わったのであって、一人あたりのGDPを維持する、あるいは少しずつ増やしていくことを、政策の主軸に据えて行くべきなのである。それは先進国すべてに言えることで、GDPがどうなった、こうなった、おれは偉くなったんだと言って、鼻息の荒い後発国(日本もついこの間までそうだったが)の出鼻をすこしくじくためにも、それは有効ではないか?(おわり)
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